I I Tとはインド工科大学(Indian Institute of Technology)の略である。いまインドのIT産業の発展がめざましいらしい。もうずっと以前だが、その当時のドイツのフンボルト財団の事務局長だったOstenさんが松山に来られて話していたところでは学術の分野での中国、インドの発展ぶりがめざましくそれに応じてドイツへの留学生もこれらの国の留学生が急増しているとのことであった。
その後のインドと中国の経済発展は目覚しいものがあるらしい。特に中国はもう世界の超大国の仲間入りを果たした。中国はGDPではアメリカ、日本についで第3位の地位を占めているという。(2010年に中国は世界第2位のGDPの国となった(2011.5.15付記))。
それに、このところのインドのIT産業の急発展である。しかし、これは基礎科学教育に支えられている。I I Tは優秀な卒業生を世界に輩出して供給しているという。また、この I I Tに学生を入学させるための学校にも優れたものができているらしい。
中国とはちがってインドでは英語が一般的である。そういう点もインドが世界のIT産業を席巻する重要な要素になっている。また、数学での 0 という概念を生み出した国というお国柄も有利に働いているとも見られている。
もっとも 0 という概念は昔の話なので、それが本当に今に生きているのかは疑わしいが、そういう説明を受け入れてしまえるほどに基礎科学教育はすばらしいらしい。
それにつけても思うのはわが国の教育のことである。優れた数学教育や科学教育の芽はあるのにもそれがまだ十分には一般化していない。個々には優れた実践もあるが、それが国力を隆盛にするといったほどの影響は与えていない。
これはもちろん国が主導するのではいけない。もっと民間の教育団体がしっかりしなくてはいけないのだ。国民のための一般教育といった面と一歩進んだ科学者や技術者の養成のための基礎科学教育が必要である。
どうも富国強兵の思想のようで恐縮だが、そうではないしっかりした、数学をも含めた基礎科学教育の充実がいまほど望まれる時代はないのだ。私も及ばずながらそれに尽力をしたい。