今日久しぶりに算数の勉強会に出かけた。発達障害を抱えたらしい子とそのお母さんが来られていて、その子を相手にしてY先生が模擬授業をされた。後でS先生やY先生等が感想を述べられた。
今日の学習会のメーンはそのことであったが、その後で私も知っているY.Y.先生が1月に亡くなれたことをS先生から聞かされた。愛数協の機関誌「研究と実践」はY先生のご尽力なしではここまで成長をしなかったであろう。先生のはっきりした年齢は存じないが、80歳ちょっとすぎではなかっただろうか。
私が愛数協に入って初期の頃に熱心に学習会に出たのはY先生の魅力によるものである。考えが透徹していたし、数学の理解が深かったと思う。Y先生は大学の数学科の卒業生ではなかったが、理学部を卒業されて高校の数学の教師として長年勤められた方で、数学をよく勉強されていた。
水道方式についても自分がはじめ懐疑的であったということから、一歩一歩と納得いくまで学習されたと伺っている。水道方式の計算問題の型分けについて何度か即席の講義をしてくれたことがあったが、よくは覚えていない。
こういう深みのある人は少ない。日本評論社から数教協の編纂で出された二つの数学教育関係の辞典にもいくつか寄稿をされている。ここ数年は健康状態が思わしくなく、あまり人に会いたがらないと聞いていたので、あえて訪問するということをしなかったが、残念なことをしたと思う。いろいろとお考えを聞いておくべきだったと今になって思う。
Y先生が著した著作は何冊か市販の本ではないが、出ている。その中には私がいま参照している『中学・高校における水道方式』(愛数協ブックレット1)もある。これがY先生の実質的な最後のまとまった著作となってしまった。私自身はこの『中学・高校における水道方式』を大学の専門基礎教育の範囲くらいにまで広げようという考えでe-Learningのコンテンツの作成に取り組んでいる。Y先生のお考えを聞きたいと思ったのもこの分野のご見解である。
国民の最低限の教養としての数学教育と理科系人々に対する最低限の基礎数学教育とはかなり違っている。しかし、そこへ踏み込んでY先生のお考えを拡大する必要があると感じている。