今日の朝日新聞で「日本 前へ」というシリーズの5回目か6回目を読んだ。このシリーズは毎回興味深いが、今回の話は日本の個別の技術には見るべきものがあるが、それを全体の大きな商品というか、たとえばグリーンテクノロジーといった観点から見てどうもそれを生かすのが日本人や日本の企業とか国とかが下手だということを指摘している。
たとえば、ソーラーパネルにしても変換効率のような日本の技術はいいが、あまり全体的な利益につながるようには現在は機能していないという。そしていまではソーラーパネルを用いた発電の量はすでにヨーロッパの後塵を拝しているとか。
風力発電でもその開発に遅れてしまっているという。ところがその主要な部品であるボールベアリングとか風車の主軸は日本製のものが部品として優れた製品として採用されているのだそうだ。それらは他を圧倒しているのに全体としてのビジネスとしては風力発電全体のごく僅かの部分しか市場を占めていないという。
このような話は何十年も昔に聞いたような気がする。それは「システム工学」のことでアメリカが月に人を送り込んだときにもてはやされたものであった。
システム工学の何たるかを私がよくわかっているわけではないが、現在すでにある技術や製品を組み合わせてそれで月ロケットをつくり、99.999%かそれ以上の確かさで人を月に送り込むアポロ計画のときにもとになったといわれる考えである。
あれは1969年か1970年頃のことであるから、それからもう40年近くたったが、その教訓をまったく活かしていないようである。どうも日本の技術や会社の開発部門の担当者はどうもそういうところで遅れをとってしまっている。これは何に起因するのだろうか。もともとの日本の教育に起因するのか。
いや、これはどうも日本の技術のいいところでもあるし、欠陥でもあるのだろうか。
確かに技術的に優れたものは売れるという迷信があるのかもしれないが、技術的に先進国でもなくてもそこそこの技術国でも現在の技術をうまく組み合わせれば、トップ企業として風力発電にしろ、太陽発電にしろ売り上げをあげて世界的なシェアを占有することができるという発想はあまりに日本的ではないのであろうか。
私たちにも深く反省を迫るものがある。
それにしても昨夜のドイツ語のクラスで聞いた話は衝撃だった。それはソーラーパネルを屋根に取り付けた家でこのごろ雨漏りが激しいのだという。これはそれに対する対策がいずれ考えだされるではあろうが、これは現在までのところある種の盲点であろう。