これは私のボケ具合を示すものであって、その他の他意はない。
羽仁家とは羽仁五郎氏とその家族のことである。私は羽仁五郎氏の全集が出ていないことを遺憾とするものだが、そういう話が出版界でいまのところ出てきそうにない。まことに残念である。
ところで、その五郎氏の息子の映画監督、進氏の名前を忘れてしまっていた。それで思い出そうとするのだが、守氏だったかなとかいくつかの候補が思いついたが、わからなくなった。彼の講演を学生のときに一度聞いたことがあったのに。
その講演を聞いたのは非行という言葉が流行りだしたころで、彼の映画の題名を「非行少年」と紹介者が紹介したが、それは「不良少年」だと進氏が彼の講演の中で訂正したことを覚えている。そういうことすらあったのに進氏の名前がなかなか出てこなかった。私の頭のボケ具合を示すものである。
五郎氏が晩年入院していて、死に瀕していたとき、進氏の子どもの羽仁未央さんだかが祖父を見舞ったときに涙を浮かべていたら、それを見た五郎氏が「おいおい、死ぬのは俺なんだぜ」といったとか言ったというのを進氏の「大いなる死」で読んだ。まことに羽仁五郎氏の面目躍如としたところがある。
この未央さんは香港の中国返還のころに香港にいて、そのNHKのテレビ放送に出ていたのを覚えている。羽仁家の人としてのたくましさを備えた人らしく広東語を知らないのに現地に飛び込んで周りの人から少しづつ広東語を学んだとか。
ちなみに香港をホンコンというのは広東語で、カタカナでその発音を表すと北京官話(標準語)ではシァンカーンである。残念ながら中国語のローマ字でこれを表すことが私にはできない。