武谷三男の年譜、伝記作成とか著書リストの作成、論文リスト作成等が私の仕事の重要な一つであるが、最近はこのことには仕事の重点をおいていない。
「素粒子論研究」に武谷三男の著作リスト2、業績リスト2を出してから、また新しい発見というか不十分な点がすでに判明している。存在の判明した書籍を公立の図書館から取り寄せるという確認の作業をまだしていない。
私の現在の仕事の第一の優先は初歩の数学や物理e-Learningのコンテンツの作成であるので武谷関係の作業は中止せざるを得ない。一月の半ばに「広重の三段階理論批判を考える」という徳島科学史雑誌に出したエッセイの別刷を科学史家の数人に送ったが、今のところその反応はない。
哲学者鶴見俊輔さんからはこの別刷に対する返事のはがきをもらったが、彼の反応は自分には広重ー武谷論争の是非を判断する力がないという率直なものであった。もちろん彼は物理学者でも科学史家でもないから、この表明は彼の名を傷つけるようなものではない。さすがに真に偉大な人は実に率直に自分の不十分さを表明できるものだとむしろそのことに彼の偉大さがあると感じている。
物理学者や科学史家には読んでわからないようなことは書いていないつもりなので、多分興味がないというか関心がないということであろう。編集者の西條敏美先生のところへは二人ほど科学史関係の方から反応があったと聞いている。