guten Tag, guten Abend, guten Morgen(順に、「こんにちは、今晩は、おはよう」の意、ちなみにこれらはすべて4格)では形容詞の語尾にenがついているから、Tag, Abend, Morgenは男性名詞だということは知っていた。
また、gute Nacht(「おやすみなさい」の意)のNachtはguteと語尾eがつくから、女性名詞ということも。
だがvielen Dank(「どうもありがとうございます」の意)は形容詞viel(多くの)に語尾enがついてvielenとなっているのでDankは男性名詞だとわかるとは思ってもいなかった。
私はなんとぼんやりと長年ドイツ語をやっているんだろう。
ドイツ語は形容詞の語尾変化が難しいのでむつかしい言語だといわれる。それはそうだが、私に難しかったのは語尾変化というよりは文のつくりかた(syntax)であった。
私が大学で学んだ昔のドイツ語の授業では文をどうつくるかよりも冠詞や形容詞の語尾変化だとか動詞の人称変化とかが主であった。
これについて「昔の大学でのドイツ語教育はひどかった」といつかこぼしたら、R氏が「それはドイツ語の文の作り方は英語と同じという風に捉えられていたためだ」といった。
彼からもう何回も聞いたことだが、独文学会に行って「ドイツ語の平叙文の文頭には動詞以外はなんでもおけるといったら、お前はドイツ人ではない」といわれたとか。
それが本当にその当時の独文学会レベルでのドイツ語認識だったというのはいくぶん疑わしいとは思うが。
それがいまでは彼のいったことが当然として一般のドイツ語教育においても普及しているというのが、R氏の述懐である。
そして文頭に動詞以外の何でも置けるという例を集めているwebのサイトまであるとのことである。