虎落笛とは俳句を詠む人などにはおなじみの語句であるが、私のようにそういう素養のないものにはなんと読むのかもわからなかった。「もがりぶえ」と読む。
以前にある会の会誌の編集を数年間していたが、そのときに九州のSさんから投稿があり、その中に虎落笛という語句の入った、俳句があった。
それでよくわからずそのSさんに尋ねたことがあった。物を知らないにもほどがあろうが、それは仕方がなかった。最近朝日新聞の俳句の欄にそういう語句の入った俳句を見て、そうだったなと懐かしく思った。
いま国語辞典(この語は嫌いである。日本語辞典というべきだ)を引いてみると、岩波国語辞典(第3版)には載っていなかったが、さすがに広辞苑(第5版)には載っていた。
虎落笛は笛という語が入ってはいるが、別に楽器の笛とは関係がない。冬の烈風が垣や竹垣などに吹き付けて笛のような音を出すことをいうとある。こういう語は俳句や短歌とかをやっている人には当然知っている語ではあろうが、別に知らなくとも生活に困る訳ではない。
「俳句甲子園」という催しが毎年松山であり、高校生の俳句愛好家のチームが自分の俳句を相手とそのできばえを競ったり、その後の討論によって、勝ち上がって行く。
その放送をときどき見ることがあるが、高校生といえども俳句の愛好家には私たちのあまり知らない語彙があることに気がつかされる。なかなか私たちには及ばないことである。