今日の朝日新聞に『売れるから「嫌中憎韓」』と題する記事が先に書いた「佐村河内氏問題問題への自戒」の記事の真横に出ている。
ということは朝日新聞の編集部の意図があるのであろうが、この記事のタイトルを見ただけで昔の話を思い出した。
これは太平洋戦争に日本が踏み切るか踏み切らないかのころかその後のことである。
日本では上からの方針として押し付けられて英語を学ぶことが、悪いこととして取り扱われた。多分英語の文献とかを読む人も肩身が狭いというような風潮があっただろう。中学校や女学校で英語を教えていた先生も肩身が狭かっただろう。
ところがアメリカでは日本との戦争に勝つためには「日本のことをよく知らないといけない」ということで日本研究や日本語を学ぶことが奨励されたという。
もちろん、日系のアメリカ人をどこかの片田舎に収容所をつくって市民社会から隔離したというような間違った政策もとられたが、日本語を学ぶことや日本研究を奨励したあたりが日本の政治家や軍部の考え方と大いに違った。
また、戦後に日本語もできて、日本研究の専門家として一家をなした人の多くがこの戦中の日本語を学んだ人たちであった。
もちろん、現在は資本主義の社会だから、あくまで売れるものを売って利益を得る。そのような本を出版社が著者に書かせて売るとか、週刊誌で特集をしてその週刊誌の売り上げを増やすというのはしかたがないかもしれない。書店だってそういう売れ筋の書籍の書棚のコーナーをつくるのだって非難される筋ではなかろう。
だが、マスコミはそれもある程度の社会の良識を代表していると思われるメディアはそれにあまり依拠してはならない。そういう風潮があるということは報道することは社会の様子として報道することは許されるだろうが、やはりよほど注意してそれを報道しなければならない。
これは対中国とか対韓国とかの問題となると、国際外交問題にもなることだから、単に一個人の佐村河内さんの問題よりももっと大きい。
そういうときでも中国なり、韓国なり、北朝鮮のことを深く理解している人に記事を書かせることをマスコミとしてはしなければならない。出版社としてはそういう深い洞察に満ちた種類の本を出版しなければならない。政治を正さねばならない。
それがエリート出版社や新聞社や公共放送としてのNHKの役目のはずである。そういう姿勢を忘れたら、たとえばNHKは聴取料をとることは詐欺でしかない。