先週の金曜の夜11時からのルーウィン先生の2回目の講義があった。力学の2回目の講義でこれで力学は終りらしい。
物体の自然落下が取り扱われていた。なかなかデモ実験が含まれており、興味深々であった。
もちろん、これで力学が直ぐにわかるわけではないだろうが、少なくとも初めから食わず嫌いになることはなくなるかもしれない。
ストロボ写真をとってボールの落下を観測させたり、おもしろい。3.2mほどの高さから落としたボールが何回ストロボで見えるか。これは時間にして0.8秒とかだからなかなか肉眼では見えにくい。
ストロボ写真によると7回ボールが見えており、それからボールの落下速度がわかる。それによるとその速さは v=gt である。
もしこれが時間によってボールの速さが変わるのではくて、速さが一定であるとすれば、 t 秒後には進む距離は vt である。これは縦 v で横の長さが t の長方形の面積である。
ところが物体の自然落下の場合には時刻 0 では速さは 0 であるが、時刻 t では速さはgt となっている。これは原点を通る傾きが g の直線で表される。
そして、このときの落下距離は(1/2)gt^{2}となる。これはグラフ gt の下で時刻が 0 から t のときまでのグラフの下の面積であることからわかる(注)。
もっともこういう説明でどれくらい一般の人がわかるのであろうか。積分の概念を教えて、それからこういう話をするというのが私がM大学に非常勤講師として教えに行っていたときにとった方法であるが、それを見事にスキップして話を進めていた。
なかなか積分も微分も教えないで一般の人に物理を教える一つの例として参考になった。
慣性の法則を実験して見せたところとか、モンキーハンティングの実験とかも面白くて、これは私たちにはこのようなデモ実験は見せられないので、うらやましく思った。
(注) このことを妻がわかったかどうか知りたいと思って、コタツに入ってこの放送を見ていた妻の方を振り返ったら、コタツの暖かさのせいかこっくりこっくり居眠りをしていた。
はじめの落下物体の速さが 0 で、時刻 t のときには速さが gt であるから、平均では一定の速さ (1/2)gt でそれに時間の t を掛ければ、(1/2)gt^{2}となると説明をしてみたが、妻はまったく聞いてはいなかった。