ストロガッツ『ふたりの微積分』(岩波書店、2012)を購入した。
アマゾンの書評で「積分記号下での微分」について書いてあると読んだからである(注)。
n!の積分表示である、x^{n}e^{-ax}の0から無限大までの定積分について書いていた。他にもたくさん例があるのかと思ってこの書を購入したのだが、ちょっとこの1時間ほど探したところではこれ以外の例は載っていない。
これなら、私の小著『物理数学散歩』(国土社)に書いた「微分をして、積分を求める」のエッセイの方が「積分記号下での微分」についての例が多い。
もっとも『ふたりの微積分』はもっとちがったテーマを扱っているので、この「積分記号下での微分」での記述が少ないからといってこの本の価値が減じることはない。
Feynmanは「積分記号下での微分」をWoodsの”Advanced Calculus" (Ginn,1926)で学んだおかしな積分法という風に『御冗談でしょう、ファインマンさん』(岩波書店)で紹介している。私が「微分をして、積分を求める」というエッセイを書いたのもファインマンの本を読んで感銘を受けたからである。
そのWoodsの著書のタイトルとか出版社等の書誌情報が出ていたので、出所がわかった。
この『ふたりの・・・』によればこの書の141-163ページが「積分記号下での微分」の記述にあてられているとあるから、大学の図書館に頼んでこのコピーを取り寄せてみようか。
試みに日本の古書店でこの書を売っていないかと調べたら、どこかに1冊だけあったが、1万円の高値がついていたので、その購入はあきらめた。私が30歳代だったら、購入したかもしれないが、70歳半ばのいまではあまりに遅すぎる。379 pageの大著である。
(注)「積分記号下での微分」を「Feynmanの積分法」と名付けたのは私である。正式の名前があるのかもしれないが、私は知らない。
よく読んだら、e^{-ax}sin x/xの0から無限大の定積分も例として挙がっているようだ。もっともその計算法の言及は簡単なもので詳細な計算はない。
(2018.1.8付記)「数学・物理通信」7巻9号と10号に「積分記号下での微分」による積分について書いた。これは以前に書いたエッセイの修正版とか新しいエッセイである。この分野の手法に関心のある方々はインターネット検索でこれらの記事を読まれたらいい。もっとも「数学・物理通信」7巻10号はまだ谷村さんがアップして下さっていないかもしれない。少なくとも近日中にアップして下さるであろう。