いいか? これの解答がなかなかできない。私の大学でのテククストは寺沢寛一編『物理学』上、下(裳華房)であったが、これは数学の説明が十分でないところがあるし、今ではもう出版されていないだろう。ただ話題が豊富なのがよかった。もっとも今では古すぎるであろう。だからもし出版されていても推薦できない。
数学的にもうちょっとしっかりしたものには吉田卯三郎(竹脇又一郎修訂)『物理学』上、下(三省堂)があるが、これも古いものだから、現在は出版されていないだろう。
それで力学とか電磁気学とかの専門の科目としての物理を学ぶ前の一般物理学としてあまり難しくはないものとして現在どれがいいのかわからない。たくさんの本が今では出ているはずだが、これがいいと思うような適当なものを思いつかない。これは単に私の不勉強のせいで、世の中の著者が悪いわけではない。
それでも無理矢理に現在持っている書を数冊あげてみよう。
1.加藤潔『理工系 物理学講義』(培風館)
2.原康夫『物理学基礎』(学術図書)
3.長岡洋介『物理の基礎』(東京教学社)
がある。3は力学と電磁気学だけしか扱っていないが、それだけをまず学びたいなら説明もしっかりしているのでこれがいいが、一般には2がいいかもしれない。カラー印刷もきれいだし、扱っているテーマも豊富だ。1は著者の加藤さんが自分で大学で教えている経験を生かしたテクストだと思われる。それぞれの個人の肌にあった本を選ぶのがよかろう。