であると思っている。急になんだと思われるかもしれないが、詳細は伏せておく。交代数はあまり知られていない。
しかし、ベクトルのことを知っている人なら、べくトルの外積は交代数を体現したものであり、同じベクトルの外積はゼロとなることを知っている。そういう演算と交代数とは関係している(注)。
たとえば、ゼロではないのに2乗すると0になる変な数が交代数である。そんな変な数を考える人が歴史的にいたのである。どういう発想をその人Grassmannはしたのだろうか。
遠山啓の『数学入門』上(岩波新書)106の1部をここに引用しておこう。
「数学といえば、機械のように正確で、空想や幻想などの入りこむ余地はみじんもないものと思われている。しかし、グラースマンの奇妙な乗法はその正反対を物語っている。グラースマンの幻想的な計算法が、連立方程式を完全に解いたわけである」
(注)ベクトル解析の歴史を概観したCroweの著書に"A History of Vector Analysis" (Dover)があり、これの初期段階の主人公は四元数を発見したハミルトンとこの交代数を考え出した、グラースマンである。
いま気がついたが、Corweの本のタイトルにaという不定冠詞がついている。これはほかの人から見たら別の歴史がありうるという意味での不定冠詞のaなのであろう。こういうときには断じて"The History of Vector Analysis"とはならないのであろう。