優れた医学診療技術手段として、MRIが使われるようになってひさしい。ところが体内に金属を埋め込まれている人だけではなく、MRIにとっての障害となるのが、閉所恐怖症である。
実は、何を隠そう私自身が閉所恐怖症の持ち主である。それでもMRIの検査を受ける機会はいままでに1回しかなかった。ところが最近MRIの検査を受けなけらばならない事態となった。
さあ大変である。いまのところ鎮静剤を飲むことでこの閉所恐怖症をなんとかやり過ごしたいと思っている。
MRI検査に必要な時間は20分から30分といわれており、5分などという短時間ではない。それがいまのところの問題点でもあろうか。
話は突然かわる。私の学生時代だから、50年以上も前のことになるが、物理の学生実験で、核四重極共鳴の実験をパートナーのU君と組んでした。3か月くらい、ある研究室にはいり、その実験室で装置の回路(電磁波の発振回路?)を組んで、実験をした。
いわゆる核磁気共鳴(NMR)の実験ほど強い磁場を使うことはなかったが、それでも弱い磁場は使ったのではないかと思う。
なかなか核四重極共鳴が起こらず、苦労した。電磁場の周波数を細かく変えていき、共鳴の周波数にうまくいきあたると共鳴が起こる。それをオッシロスコープ上で観測して、その写真を実験の証拠として、先生に提出するのである。それで細かくダイアルをゆっくりとまわして、電磁波の周波数を変えていくだが、本当に微妙である。何日も何日も同じような作業であった。
当時、指導をしてくださった先生ももう90歳近くになっておられる。「物理実験は実験器具をなでたり、さすったりしないとうまくできないよ」とそのころに教えられた。
いつものように話が「MRIと閉所恐怖症」から、とんだ方向に外れてしまった。