物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

HermitianかHermiteanか

2019-02-15 12:50:27 | 物理学

私はHermiteanだと思ってきたが、どうも最近ではHermitianのほうが普通に使われていると知った。

何のことだと思うだろう。エルミート演算子の英語である。てっきりHermitean operatorと書くと思っていたから。

あわてて、Schiffの量子力学の本をみたら、Hermitianとなっていた。もっともBohmの量子論の本ではHermiteanとあったので、両方とも存在するとわかったが、最近では岩波の『数学入門辞典』でもHermitianとなっていたから、現在ではHermitianで、決まりであろう。

Hermitean operatorの発音であるが、私はエルミチアン・オペレーターと発音してきたが、英語の得意な上智大学名誉教授の物理学者、藤井先生はハーミチアン・オペレーターと発音されていたから、英語の普通の発音ではそういうのであろう。

ちなみに「エルミート演算子とはその期待値をとると、それが実数となる演算子」のことである。演算子にある種の数と同じような性質をもたせた考えである。もっとも普通の量子力学ではこの定義を拡張したエルミート演算子の定義が使われているのが普通である。そのためにエルミート演算子の理解が難しくなっている。

いつだったか、非線形波動の研究で有名だった広田良吾先生のE大学の工学部の集中講義に出席していて、「それはエルミート演算子ですか」と質問したら、逆に「エルミート演算子とはなんですか」と聞かれて、私のほうが絶句したことがあった。

さすが、偉い先生はそういう初歩的な問を怖がらないのだと知った。しかし、これは広田先生くらいに偉い先生にだけ許された特権なのかもしれない。


post truth

2019-02-15 11:59:36 | 日記

ポスト・トュルス(post truth)とは真実ではない、自分の信条とか信じたいことを第一とすることだという。現在がそういう時代に突入しているのだという。

嫌な時代だが、アメリカ大統領トランプの言説を見ているとそういう時代に私たちが否応なしに生きていることを痛感させられる。

あまりよくわからない言葉にポスト・モダンという語があって、私の知っている人では数学者の森毅さんの本にはポスト・モダンという語があふれていたが、これがどういう意味かはいまでもわからない。

いまなら、ちょっとインターネット検索してみたら、すぐにわかることでもあろうか。ただ、インターネットの知識ももうちょっと深く知ろうとすれば、たいていいきづまる。

そういってはいけないかもしれないが、通りいっぺんの知識を求めるには苦労しないが、やはりもっと突っ込んだ考えは、なかなかインターネットで得られるというわけではない。

たとえばの話しだが、ガウスの定理だとか、ストークスの定理だとかの発見法的な証明を知りたいと思ってもそういうものは簡単にはみつけられない。

確かに現在では微分形式で書かれた、これらの定理の証明もちゃんと見ることができるだろう。それはそうなのだが、もう一方でものたらないことも多い。