吉田武『オイラーの贈物』(東海大学出版会)のアマゾンコムに載っていた書評をいまさっき69だったか全部読んだ。とはいっても面倒な書評もあってそこは流し読みだった。
だが、ほぼ全部を読んだ。たいていは絶賛したものだが、数学としては厳密性に欠けるという書評もあった。それはそれであたっていなくもない。
だが、そういう数学的な面をこの書に求めるのは酷というものだろう。ただ一つあまり書かれていないことで私なら書くだろうことは
e^{i \pi}=ー1は複素平面での実数1の原点Oのまわりの180度回転である
という点である。これは線分1を原点のまわりに180度反時計方向に回転すれば、-1が得られることを意味する。これがe^{i \pi}=ー1の意味である。
本筋にもどれば、『オイラーの贈物』に注文はないが、e^{i \pi}=ー1の意味だけは付け加えてほしかった。
今度書評を読んで関心をもったのはこの書の付録の部分がいいとか、数学用語の英訳がついているのがいいという意外な評であった。
ときどき「初等的な数学用語を英語ではどういうのか知りたい」ことがあるので、なんでもすべての要求にこたえることはできないとしても、そういう要求の一部にこたえていることはよい。
そういう要求にこたえることのできる書としては、私は
武藤徹、三浦基弘編著『算数・数学用語辞典』(東京堂出版)
に助けられることが多い。
この書には直角三角形の隣辺をadjoing sideとあり、私の知っていたadjacent sideとちがっていたのが、ご愛敬であった(注)。
いつか武藤先生にメールをしてみようかと思っている。
(注)直角三角形では最近では隣辺とはいわず「底辺」と言っているのではなかろうか。ちなみに、昔は直角三角形のある角に対応した辺を対辺(opposite side)といっていた。いまではこれは「高さ」というだろう。
直角三角形の古い言い方を復活させようとしているのは、三角比の覚え方と関係している。
対斜(これはsin)の隣斜(これはcos)は対隣(これはtan) (大車の隣車は大輪)
と覚えたと、もう亡くなったY先生から教わったからである。