物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

『オイラーの贈物』

2019-11-25 13:27:14 | 数学

吉田武『オイラーの贈物』(東海大学出版会)のアマゾンコムに載っていた書評をいまさっき69だったか全部読んだ。とはいっても面倒な書評もあってそこは流し読みだった。

だが、ほぼ全部を読んだ。たいていは絶賛したものだが、数学としては厳密性に欠けるという書評もあった。それはそれであたっていなくもない。

だが、そういう数学的な面をこの書に求めるのは酷というものだろう。ただ一つあまり書かれていないことで私なら書くだろうことは

 e^{i \pi}=ー1は複素平面での実数1の原点Oのまわりの180度回転である

という点である。これは線分1を原点のまわりに180度反時計方向に回転すれば、-1が得られることを意味する。これがe^{i \pi}=ー1の意味である。

ついでにいうと、も一度180度回転すると、-1を反時計方向に原点Oのまわりに回転することになり、これはー1掛けるー1は+1となることを示す。すなわち、

 (-1)*(-1)=1である。

これは正負の数のかけ算の規則として中学校で学ぶ規則である。このときにはこれが意味があるとは思ってもいなかった。

本筋にもどれば、『オイラーの贈物』に注文はないが、e^{i \pi}=ー1の意味だけは付け加えてほしかった。

今度書評を読んで関心をもったのはこの書の付録の部分がいいとか、数学用語の英訳がついているのがいいという意外な評であった。

ときどき「初等的な数学用語を英語ではどういうのか知りたい」ことがあるので、なんでもすべての要求にこたえることはできないとしても、そういう要求の一部にこたえていることはよい。

そういう要求にこたえることのできる書としては、私は

  武藤徹、三浦基弘編著『算数・数学用語辞典』(東京堂出版)

に助けられることが多い。

この書には直角三角形の隣辺をadjoing sideとあり、私の知っていたadjacent sideとちがっていたのが、ご愛敬であった(注)。

いつか武藤先生にメールをしてみようかと思っている。

(注)直角三角形では最近では隣辺とはいわず「底辺」と言っているのではなかろうか。ちなみに、昔は直角三角形のある角に対応した辺を対辺(opposite side)といっていた。いまではこれは「高さ」というだろう。

直角三角形の古い言い方を復活させようとしているのは、三角比の覚え方と関係している。

 対斜(これはsin)の隣斜(これはcos)は対隣(これはtan) (大車の隣車は大輪)

と覚えたと、もう亡くなったY先生から教わったからである。

これは、順に「sinは対辺の長さを斜辺の長さで割る、cosは隣辺の長さを斜辺の長さでわる、tanは対辺の長さを隣辺の長さでわる」ということを示している。

隣辺にはadjoing sideとadjacent sideの両方の言い方があるらしい。

 

 


『天文計算入門』を手に入れた

2019-11-25 13:04:24 | 数学

長谷川一郎『天文計算入門』(恒星社)を手に入れた。私は天文計算には関心がないのだが、球面三角法の解説があるらしいので、購入したのである。

余計なことに第2章が平面三角法になっている。第3章は球面三角法になってはいるが。平面三角法の説明抜きでの、球面三角法の説明があることを期待していたのだ。

普通の本ではやはり平面三角法を経由して、球面三角法を学ぶが、歴史的には球面三角法の方が先にできていたと数学史の本では読んでいる。

もっとも、その説明を数学史の本でしているかどうかは知らない。たぶん、そうひとこと書いてあるだけで、詳しい説明のある本をまだ見たことがない。

話を元に戻すと、この本には渡辺敏夫『数理天文学』(恒星社厚生閣)が引用してあって、インターネットのサイトの「FMの高校物理」では『数理天文学』をもとにして球面三角法の説明がしてあった。

小著『四元数の発見』(海鳴社)の四元数の第11章「四元数の広がり」で球面三角法のレビューを広言したのにその広言の実現はまだしていない。

残念ながら、その実現の見通しもまだまったくたっていない。