素粒子物理の研究者の間では先生とはあまり言わないのだが、これは分野がちがう方のことだから先生と言ってもまあいいだろう。私が学んだドイツ語の先生ではもちろん在間先生はない。
私の存じ上げているドイツ語研究者、Fさんの先生が在間先生である。Fさんによれば、独和辞書を2冊もちがう出版社から出版されている方だという。こういう方はたぶん日本にはおられない。在間先生をちらっとお見掛けしたことがあるのは実は松山であったFさんの結婚式でのことであり、このときですらお話をする機会もなかった。このときの記憶ではとてもスマートな方であった。
たまたまだが、この結婚式での司式を行ったのは私のよく知っている牧師のOさんであった。このOさんはドイツ語のクラスの仲間であった。もっともこのOさんはドイツの大学で4,5年も神学を学んだ方であり、私などとはドイツ語力が格段に違う持ち主の方である。
在間先生の話にかえるとドイツ語検定試験の準備のためのインターネットのサイトを開かれており、ドイツ語検定試験の2級の試験を受ける前だったかその後だったかは忘れたが、少し勉強させてもらったことがある。
最近、verratenという語の意味が「裏切る」などというなかなか私たちがあまり使わない意味ではなく、「こっそり教える」という意味だと知った後で在間先生の独和辞書を引いてみたら、ちゃんとこの訳語が最初に出ていた。
ドイツ語のよくできる人はちゃんとよく知っているのだなと感心した次第であった。
Fさんはまだ現役の研究者であるから、わざと名前はイニシャルだけにする。Fさんは彼が若いときに知り合ったのだが、これはそれからだいぶん年数が経ってからだが、松山にまた来られたことがあり、そのときはドイツ人の一行とご一緒であった。
そしてドイツ人の講演の通訳もされたが、それよりも驚いたのは日本人の発言をほとんど同時通訳かとも思うくらいすばやくドイツ語に通訳されたことであった。
私の知っている方でこれくらいドイツ語ができる方は日本人では知らない。もちろんドイツ人がドイツ語を話すのは当然であるが。
ここから先は私の推論にすぎないが、たぶん先日ブログに書いた藤田五郎先生の門下生が在間先生であり、そのまた門下生がFさんなのではないかと思っているが、このことをFさんに伺ったことはない。
これは東京外語大学のドイツ語科の卒業生の方から聞いたことがあるのだが、藤田五郎先生は大学の授業はドイツ語でされていたとか。