【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

安倍改造内閣は「土俵際内閣」 このダムが決壊したら救援なし

2007年08月27日 17時33分10秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

 第一次安倍改造内閣が発足しました。〈写真は時事通信〉
 ベテランを中心とした重厚な布陣です。言ってみれば「土俵際内閣」。
 土俵際では技がなければ、逆転勝ちはできません。第21回参院選で土俵際に追い込まれた安倍内閣は地力があり、うっちゃりもできるベテランをそろえました。

 ベテランを中心とした重厚な布陣です。言ってみれば

 土俵際では技がなければ、逆転勝ちはできません。第21回参院選で土俵際に追い込まれた自民党安倍改造内閣は地力があり、うっちゃりもできるベテランをそろえた格好です。

 秋の臨時国会は自民党対民主党の面白い論戦が期待できそうです。

 それだけでなく、2年以内にある第45回衆院選の必勝を目指して背水の陣をしいた感じがします。

 いいかえると、この「重厚長大・自民党ダム」のどこかにアリの一穴があいた場合、救援はもはや期待できないと言ってもいいかもしれません。

例えば、町村信孝外相(北海道5区)は町村派(清和政治研究会)からただ1人の入閣ですから、何らかの理由で辞任に追い込まれた場合、町村派の閣僚がゼロになり、自民党内の権力のバランスが崩れる可能性があります。

 派閥領袖(自民党内の派閥の会長)は3人入っていますが、70歳代の重鎮議員による重しもなければ、「次」のリーダーを見すえた若手の抜擢も少ない。

 そういう意味で今回の内閣改造は自民党が土俵際に追い込まれた感じがします。減少傾向だった東大卒も増えました。ベテラン大臣なら答弁ミスは少ないでしょう。

 国民が期待を寄せるという感じの内閣ではなく、玄人受けですよね。もしこの内閣で支持率が上がらなければ、万策尽きてしまうのではないでしょうか?

 31日は民主党役員人事。これで各大臣に対応する野党のカウンターパートが決まります。

決戦場は9月10日ごろ召集の秋の第168回臨時国会です。

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【新聞を読もう】安倍改造内閣 官房長官・与謝野氏 外相・町村氏 厚労相・舛添氏 (西日本新聞から)

 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/gougai/20070827/20070827_001.shtml

 安倍晋三首相(自民党総裁)は27日午前、参院選惨敗を受けた党役員人事で、麻生派会長の麻生太郎外相(66)の幹事長就任に続き、政調会長に無派閥の石原伸晃幹事長代理(50)、総務会長に二階派会長の二階俊博国対委員長(68)を起用した。

 三役は「脱派閥」を印象付けるため、津島、古賀派など有力派閥でなく小派閥の会長らが並ぶ異例の顔触れとなった。首相は参院での与野党逆転状況を踏まえ、新執行部に「一致団結して難局を乗り越えてほしい」と指示した。官房長官に与謝野馨氏、外相に町村信孝氏、財務相に額賀福志郎氏、厚生労働相に舛添要一氏が内定した。同日夜に安倍改造内閣が発足する。

     ◇

 改造人事では冬柴鉄三国土交通相(公明党)の留任が内定、矢野哲朗参院国対委員長の起用が固まっている。自民党関係者によると、高村正彦元外相の入閣が内定したほか、地方活性化担当の特命相の新設と、前岩手県知事の増田寛也氏の起用も検討されている。

 首相は挙党態勢を構築し、次の衆院選をにらんで党内にくすぶる首相退陣論を封じ込めたい考え。内閣改造後の27日夜に会見し、参院選惨敗の「反省」を政権運営にどう反映させるか見解を表明する。麻生氏は就任会見で「党の信頼回復に努めたい」と強調した。

 首相は党人事をめぐり、国会対応や次期衆院選に向けた選挙態勢づくりで党側との緊密な連携が不可欠と判断、参院選惨敗にかかわらず首相続投支持をいち早く打ち出した麻生氏の幹事長起用を早くから固めていた。

 無派閥の石原氏起用は「清新さ」のアピールとともに、派閥均衡型人事との批判をかわす狙いがある。二階氏は首相と距離を置く古賀誠元幹事長とも親しく、党内の「反安倍勢力」けん制を念頭に置いたとみられる。

 党幹事長代理には町村派の細田博之元官房長官(63)、国対委員長は高村派の大島理森元農相(60)が就任し、古賀派の菅義偉総務相(58)は党選挙対策総局長で処遇した。衆院議院運営委員長に津島派の笹川尭党紀委員長(71)が内定した。

 塩崎恭久官房長官は退任、閣内横滑りも見送られることになった。

     ◇

▼自民党三役
 自民党を切り盛りする幹事長、総務会長、政務調査(政調)会長の総称。幹事長は総務、人事、経理など党組織を掌握、選挙、国会対策を指揮する。党総裁を補佐する事実上のナンバー2。総務会は党大会、両院議員総会に次ぐ最高意思決定機関で、総務会長が議長で党運営、国会活動など重要事項を審議、決定する。党則は多数決で議事を決定するとしているが、全会一致が慣例。党が採用する政策はすべて政務調査会を経なければならず、これを統括するのが政調会長だ。いずれも党総裁への登竜門とされる。

     ◇

 【幹事長】
 ▼麻生 太郎氏(あそう・たろう)学習院大卒。政調会長、総務相、外相。66歳。福岡8区、衆院当選9回(麻生派)

 【政調会長】
 ▼石原 伸晃氏(いしはら・のぶてる)慶大卒。行革相、国交相、幹事長代理。50歳。東京8区、衆院当選6回(無派閥)

 【総務会長】
 ▼二階 俊博氏(にかい・としひろ)中大卒。総務局長、経産相、国対委員長。68歳。和歌山3区、衆院当選8回(二階派)

=2007/08/27付 西日本新聞夕刊=

2007年08月27日17時25分


【自民党執行部】麻生幹事長、二階総務会長、石原政調会長、細田幹事長代理 「安定感ある陳腐な布陣」

2007年08月27日 14時33分10秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

 自民党安倍晋三総裁は27日(月曜日)の午前9時ごろ自民党新役員人事を内定、すぐさま自民党本部で開かれた総務会で承認され、正式決定しました。

 幹事長には麻生太郎(福岡8区)、総務会長二階俊博(和歌山3区)、政務調査会長(政調会長)には石原伸晃(東京8区)の各代議士を選びました。

【写真は朝日新聞】 自民党臨時総務会を終え、記念写真を撮影する尾辻参院議員会長、麻生幹事長、安倍総裁)、二階総務会長、石原政調会長、山崎参院幹事長(左から)=午前10時19分、千代田区永田町の自民党本部で

http://www.asahi.com/politics/update/0827/TKY200708270030.html

 

 また総裁と同じ派閥から起用され、首相官邸と自民党のパイプ役となる幹事長代理には元内閣官房長官の細田博之代議士(島根1区)を起用。国会対策委員長(国対委員長)には大島理森(青森3区)元国対委員長。

 この顔ぶれは
 「安定感がある」
 「少数派閥からも実力派を起用した」
 「総選挙を闘える布陣」

と言えましょう。

 一方で、

 「陳腐」

 「代わり映えがしない」

 「ありがち」

というマイナス評価もできそうです。

 私の第一印象(First Impression)としては、「陳腐だなあ」という感じです。

 麻生幹事長は党ナンバー2(総裁が首相なので実質ナンバー1)ですから、次の第45回総選挙の顔として、安倍総裁から禅譲を受け、首相に就任→解散総選挙という可能性もあります。

 二階総務会長は総裁&党3役のうち、唯一二世議員ではありません

(但し、麻生、石原伸両氏は選挙地盤をそのまま引き継いだわけではないので、厳密には二世議員ではないかも知れません)

顔がこわもてなので、汚職議員に見られがちですが、今まで政治倫理違反が表面化したことはありませんし、運輸族、親中国派ですが、代議士として丁寧に仕事をしてきた結果ですから、あまり顔のイメージで悪徳政治家のように思わないでほしいと思います。(悪い奴はいっぱいいます)。

 石原政調会長石原慎太郎・東京都知事の長男です。1998年(平成10年)秋の臨時国会(いわゆる金融国会)で小渕恵三内閣を助け、自民党の危機を救った「政策新人類」から初の政調会長就任です。東京都も「新銀行東京」をやっていますし、石原家は金融通のようですね。

 細田幹事長代理は官僚出身。役人経験がある二世議員は珍しくありませんが、通産省の課長まで務めてから代議士に転身したのは珍しいケースです。小泉純一郎内閣で内閣官房長官をやりましたから、首相官邸と自民党本部のパイプ役として、TVにはあまり映りませんが、キーパーソンになりそうです。

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新聞記事を読もう!】朝日新聞から

http://www.asahi.com/politics/update/0827/TKY200708270030.html

 

政調会長に石原氏、総務会長に二階氏 冬柴国交相は留任

2007年08月27日12時26分

 安倍首相(自民党総裁)は27日午前、自民党幹事長に麻生太郎外相(麻生派)、政調会長に石原伸晃幹事長代理(無派閥)、総務会長に二階俊博国会対策委員長(二階派)を起用する党三役人事を決定した。首相は午後には首相官邸で内閣改造に着手、同夜には安倍改造内閣が発足する。首相は人事刷新で参院選大敗による求心力低下に歯止めをかけたい考えだが、党役員は安倍政権で要職にあった人材の横滑りや昇格が目立ち、「人心一新」を印象づけられるかどうかは不透明だ。

 首相は27日朝に首相公邸から自民党本部に入り、新三役に正式に就任要請した。幹事長代理に細田博之経理局長(町村派)、国対委員長に大島理森元農林水産相(高村派)、選対総局長に菅義偉総務相(古賀派)、衆院議院運営委員長に笹川尭党紀委員長(津島派)を充てることを決めた。

 新三役は党本部で記者会見し、民主党が参院で多数を握った現状に言及。麻生氏は「後世、07年体制と言われる新しい状況になる。課題は自民党への信頼を回復し、国民の不安にいかに対応していくかだ」と強調した。石原氏は「野党とも十分な話をさせてもらう協議の場を設け、政策、法律を国会で通すべく努力することが最大の使命だ」と述べ、二階氏は「極めて困難な状況。身の引き締まる思いだ」と語った。

 首相の信頼が厚い麻生氏の幹事長起用とあわせ、石原氏は首相と個人的にも親しい間柄として知られ、昨秋の安倍政権発足時には幹事長代理に就任した。ただ、中川秀直幹事長とともに参院選敗北の責任を問われる立場だけに、党内からは批判も出ている。

 二階氏は小泉政権で自民党に合流して重用され、安倍政権で国対委員長に就いた。民主党の小沢代表とともに自民党を離党し、長く行動を共にしていた経験があることから、党内には幹事長や幹事長代理に推す声もあったが、党内論議の行司役を務める総務会長に落ち着いた。

 また、選対総局長に決まった菅氏は、昨秋の党総裁選で安倍総裁誕生に貢献し、首相の側近として頭角を現した。直前に政治資金問題が発覚したものの、次期総選挙をにらんだ処遇となった。

 首相は午前10時からの臨時総務会で「難局だが、がんばっていかないといけない」と結束を呼びかけ、人事案は了承された。だが、加藤紘一元幹事長は総務会後に記者団に「まだまだ非常に近い人たちでやっているというイメージは払拭(ふっしょく)しきれていない」と述べた。

 一方、内閣改造人事では公明党の太田代表が27日午前、首相に電話で冬柴国土交通相の留任を正式に要請、首相も受け入れた。午後1時に臨時閣議を開いて閣僚の辞表を取りまとめる。午後3時半に自公両党の党首会談を行い、首相官邸に組閣本部を設置して新閣僚を指名。同日夜に皇居での認証式を終え、首相自ら記者会見して人事の狙いを説明する方針だ。

 今回の人事は、首相が参院選大敗後の会見で「閣僚の任命責任については私にある。反省すべきは反省しながら人心を一新せよというのが国民の声だと思う」と表明したのを受けたものだ。党内からは地方重視と共に、構造改革路線の修正を打ち出すよう求める声が強まっており、どこまで政策転換を印象づけられるかも焦点だ。