【2010年5月18日 衆院本会議】
2008年6月5日、東京・西銀座の時事通信ホールで開かれたシンポジウム老若男女で溢れかえりました。急きょしつらえらた別室でモニター中継で見守る人々。
野党・民主党の地球温暖化シンポジウム。司会は岡崎トミ子さん、コーディネーターは福山哲郎さん(京都選挙区=改選)、パネリストの中には岡田克也さんの姿が・・・。
[写真]人で溢れかえった2008年6月のシンポジウム=民主党ホームページ。
その前日、野党民主党の参院議員たちが事務総長に法案を提出しました。地球温暖化対策基本法案です。
[写真]地球温暖化対策基本法案を提出する、岡崎トミ子、福山哲郎・参院政審会長、直嶋正行・政調会長、(参院事務総長を挟んで)、増子輝彦、前田武志の各参院議員=2008年6月4日。
これに先立つ2008年1月、民主党は幹事長直属の「地球温暖化対策本部」を設けました。本部長は岡田克也副代表、事務局長は福山哲郎さんでした。
執行部を外れ、全国遊説をしながら、じっくり充電していた岡田さんは、ある日映画館で、アル・ゴアさんの映画「不都合な真実」を見て、ビックリ仰天。
かねてから環境問題をライフワークにする福山さん、岡崎さんらと組んで、わずか半年で法案をまとめました。
その内容は、排出権市場を創設し、二酸化炭素などの温室効果ガスを、
2020年までに、1990年比25%削減する
という野心的な目標を含むものでした。
しかし、2008年通常国会、2009年通常国会とも廃案となりました。まあ、野党ですから・・・
2009年8月30日、政権交代。
岡田・福山コンビは、外務省で大臣・副大臣としてコンビを組みます。そして、政権発足直後の国連総会にあわせた気候変動枠組み条約の会議で、鳩山由紀夫新首相が世界に向けて高らかにアピールしたのです。
さて、第174通常国会で、閣法として、提出されました。排出量取引に関しては、経団連に限らず、連合内(基幹労連)からも異論が出ましたが、小沢鋭仁・環境相ら政務三役が様々な利害関係を調整し、閣議決定にこぎ着けました。衆院環境委員会では、重要広範議案として、鳩山首相も出席しました。
5月18日の本会議では、気象予報士である民主党の斎藤やすのりさんが「ことし3月の地球の平均気温は過去最高だった」「審議を引き延ばしている場合ではない」「環境政策の失われた20年を作ったのはあなたたちだ!」と絶叫。一方、通産官僚出身の自民党の斎藤健さんは「経済あっての環境だ」と批判。
法案提出のときには、新聞記事にもならなかった「福山・岡田法案」が、政権交代という国民の選択により衆院を通過しました。参院環境委員会での審議を経て、今国会に成立することは確実な情勢です。
あまり注目されていませんが、世論調査では「地球温暖化対策」は関心がある政策事項のトップ3に入ります。
それにしても、岡田さんってホントウに変人だなあ、と思います。だって、通産省出身だし、野党時代から経団連内に「囲む会」を持っているんですよ。通産省では、第2次オイルショック(1979年)のときに、石油の配給切符を作っていたという筋金入りの“石油族”なのに・・・
岡田さんが外相になって以来、衆院では斎藤さん、町村信孝・元外相、参院では川口順子元外相・環境相といった通産省の先輩後輩が岡田さんを攻めることが見受けられました。そこに、すさまじい石油利権や製造業利権が見え隠れしました。
通産省のキャリアは、その職歴の多くを、資源エネルギー庁など石油関連で歩みます。通産省が岡田さんをハーバード大学に研究員として1年間派遣したのも、石油関連の人脈を作らせるという意味合いも含んでいたんだと思います。
さて、COP16に向けて、日本主導の環境外交は、どうなるか。ボールは外務省政務三役に投げられました。これからがスタートです。
岡田さんはこの法律の目的を、「炭素に色を付けるんだ」と説明しています。日々の生活の中でも、CO2排出量に関心を寄せるという生活の中で、「環境と成長が成立する低炭素社会」を実現し、かけがえのない地球を残していきましょう。
【参院外交防衛委員会 2010年5月13日】
国会審議では、「お国自慢」は控えめな方がいいのですが、北澤俊美(北沢としみ)防衛大臣が一風変わったお国自慢をしました。
北澤防衛相は、7月11日ないしは25日投票が予想される、第22回参院選に長野選挙区に民主党公認で立候補する予定です。
テレビでおなじみ自民党の山本一太さんが「5月8日、大臣が長野市におられるときに、そこの会合でこう言っています」として記事を紹介しました。
これは、沖縄に偏っているヘリコプターの訓練を日本全国(の自衛隊基地)に散らし、沖縄のみなさんに『(負担が)半分減った、4割方減った』と実感してもらえる案を防衛省としてつくっています、という趣旨の発言です。
一太さんは、これを「普天間移設断念」という言質にしたかったのでしょう。真意を問い質しました。
これについて、防衛相は「これは私の昔からの後援会のみなさんがたの農村部での会合での発言です。で、長野県っていうのはちょっと変わってましてね」と異例の答弁。大臣が自らの選挙区を「ちょっと変わっている」と発言し、委員会室がざわめきます。
長野県はいったい、何が変わっているのでしょうか?
「長野県というのは、私が概括的なことを申し上げますとね、後に一杯会(飲み会)が控えていても、かなり多くの質問が出るんですね。で、『もっと分かりやすく話してくれないか』と。というような(雰囲気の)中で、『沖縄の負担が軽減されるということの意味はどういうことなのか?』と問われたんで、それはまず第一義的に、普天間の返還である。それに加えて、沖縄に(日本の米軍)基地の74%が偏在している、ということからすれば、総理の思いは、さらにこれを軽減して、全国で分かち合いたい。沖縄に、外来機がやって来て訓練しているということは、全国の国民に認識されていない。そのなかで、仮に言えば、沖縄の中で『飛行機の数が30%減ったな、いや40%減ったんじゃないか』という軽減策は国民に分かりやすい。そういう一つの事例として、申し上げたところです」と答弁しました。
つまり、国政を預かる議員として、地元有権者にかみ砕いて説明したのであり、それを基にした新聞記事を使って、質問しないでほしい、との趣旨の答弁です。
山本一太さんは「防衛大臣、何言ってんだかちょっと分かりません。お話をされたところが農村部だろうと、都市部だろうと(関係ありません)。私の後援会でもいっぱい質問が出ます」と言い返しました。
民主党王国・長野県と、その隣県である自民党王国・群馬県。ちょっと不毛なお国合戦です。
これに対して、北沢防衛相は、「田舎だの、都市だのと言葉尻をとらえておっしゃいましたけど、私が言った場所がそういうところだと分かりやすく言っただけで、そういうことで、まるで私が都会と差別しているような話をしないでください。そこで、総理が『全国民で分かち合いたい』と言っているわけですから、防衛省としていろいろな案を作るのは当たり前です」と述べました。
ちなみに新生党結党メンバーの1割と、新党さきがけ結党メンバーの2割は長野県選出議員なんですよ。長野県が、政権交代ある二大政党制のリード役になったことは間違いありません。
りんごと二大政党・長野県。
仮に余命が1日なら、きょう、りんごの木を植えたい。子孫のために。そういう考え方が農業県であり、山国である長野県には根付いています。そのため、議論好きで政治意識が高いとされています。
ちなみに、私の祖母は政談演説会では常に最前列に座ることで有名人だったそうです。このエピソードは家族も知らなかったそうですが、地元選出で閣僚を務める政治家が証言しているそうです。大正生まれの祖母は「自民党の小坂憲次さんの政策・実績ではなく、衆議院の議席を小坂家が世襲しているということ自体が問題であり、小坂家の世襲を断ち切るべきだ」という考え方を持っており、それは慧眼だったと思います。その夢が実現したのは、2009年で、他界してから7年後と遅れてしまいました。
この5月8日の発言の後に、東京新聞投書欄に「沖縄の基地が全国ベースになってきた」という言葉遊びが載りました。
基地(ベース)というハコ物ベースで議論するのでなく、部隊や人数の運用ベースで議論する。さらに言えば、日米同盟のあり方、専守防衛のあり方にまで議論を格上げする。いわば「北澤イニシアチブ」と呼んでもいい、ひとつの議論の材料だと思います。政府としての具体案はなかなかできてきませんが、沖縄の心の痛みを全国ベースで分かち合おうとする世論が、ようやく、やっとですが、出来つつあります。
民主党副幹事長の生方幸夫さんが17日、ブログを更新し、小沢一郎幹事長について、「潔白を証明したいというのであれば堂々と証人喚問に応じるべきだ」と主張しました。
さらに世論調査で鳩山内閣支持率が20%前後になっていることについて、「このまま党内から大きな声が上がってこない限り、鳩山・小沢体制で参議院選挙に突入してしまう」→「そうなれば世論調査の結果どおりになってしまう」→「ねじれ国会の再来」と予想し、第22回参院選で与党3党が過半数割れに追い込まれるとの見通しを示しました。
第22回参院選(7月11日、25日あたり投票か?)の改選121人のうち、与党3党の当選者が54人を下回ると、「ねじれ国会」になります。
「政権交代をして政治がいい方向に大きく変わるだろうと期待した国民に対して、これでは本当に申し訳ないと思います」と謝罪しました。ホントウにその通りまったく同感です。
そのうえで、「いつから民主党の議員はこんな腑抜けになってしまったのでしょうか。残念でなりません」
と結びました。
経済評論家としての多数の著作のある生方さんだけに説得力があります・・・というか、生方さんが代議士会など公開の場で小沢一郎氏の面前で言ってほしいんですが。そうすれば、一部で、「生方宰相待望論」も出てくると思われます。
【生方幸夫さんのメールマガジン】
(引用はじめ、全文引用)
党内から声が上がってこない
5月17日(月)
またまた日があいてしまって申し訳ありません。
一昨日、小沢幹事長が検察の三度目の事情聴取に応じました。また、国会の政治倫理審査会に出席することも了承したとのことです。検察は早めに再捜査をして再度不起訴にして、検察審査会に戻す予定のようです。二度目の検察審査会がどうなるか分かりませんが、一度目の結果をだした審査員が6名残っているので、同じ起訴相当という結論になる可能性が高いと思います。
また、政倫審は公開になるのか、非公開になるのかが一つの焦点です。私はもちろん公開にしなければ意味がないと思います。ただ政倫審では本当に国民の皆様に納得をしてもらうのは不可能でしょう。潔白を証明したいというのであれば、やはり堂々と証人喚問に応ずるべきだと私は思います。
今日の朝日新聞や毎日新聞の世論調査によると、またまた内閣支持率も民主党の支持率も下がりました。普天間を巡って鳩山総理の発言は相変わらす迷走を続けていますし、小沢幹事長も柔ちゃんを参議院選挙に担ぎ出すなど、相変わらず選挙至上主義でやっておりますので、支持率が上がらないのも当然でしょう。
このまま党内から大きな声が上がってこない限り、鳩山・小沢体制で参議院選挙に突入してしまう可能性が高いと思います。そうなれば世論調査の結果どおりになってしまいます。またまたねじれ国会の再来ということになります。
折角、政権交代をして政治がいい方向に大きく変わるだろうと期待した国民に対して、これでは本当に申し訳ないと思います。きちんと党と政府の体制を立て直して、国民の負託に応えなければなりません。いつから民主党の議員はこんな腑抜けになってしまったのでしょうか。残念でなりません。