[画像]平成26年8月豪雨の犠牲者に黙祷する坂本剛二・衆議院災害対策特別委員長ら、2014年8月28日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
2014年8月20日(水)未明の広島市安佐南区・安佐北区の土石流の死者・行方不明者は82名ほどになりそうですが、衆参の災害対策特別委員会の閉会中審査が開かれました。通例は、5分ほどの委員会を開いて、委員派遣の国政調査を議長に要求。これを受けて、憲法にもとづく国政調査として各会派の委員が現地を視察しますが、時間の関係や、被災地域が狭く重機すらやっと入れた状態にあることなどから、委員派遣のない状態で委員会が開かれました。このため、二大政党および組織政党と、それ以外の諸野党間でかなり情報格差がありました。
【2014年8月28日(木)衆議院災害対策特別委員会 第186回国会の閉会中審査】
民主党の長島昭久ネクスト防災担当大臣が、先週22日の民主党調査団(団長=大畠章宏幹事長・元国土交通大臣)の知見をふまえて質問。
「私たちは迷惑にならないように視察した」と野党らしさを見せました。そのうえで、安倍首相の初動について質問。これについて、どういうわけか、首相官邸から加藤勝信・内閣官房副長官が登場。加藤さんも総理同様に官邸にいないで、山梨県内にいたのですが、官邸の初動について答弁しました。
長島さんは「官邸側の担当者と総理側の担当者で連絡し合って、総理指示をつくった。総理指示には、関係各省庁が連携しと書いてあるから、官僚は動き出す。しかし、それを国民に知らせるには、マスコミに発表するピンナップという作業が必要だ。それが2時間ほど遅れたのではないか」と首相補佐官の経験を踏まえて質問。これに政府参考人は「事務に忙殺していて遅れてしまった」とおどろくほどあっさりと答弁。長島さんが「反省を求める」と語ると、加藤副長官が「改善します」と応じました。
長島さんは「異常気象という言い方をするが、もう異常と言っていられない前提で対応すべきだ」「避難計画をつくるのは大事だが、政令指定都市の広島市でさえ不十分だったのだから、基礎自治体の中には力量不足のところが多い」と与党時代には考えられないぶっちゃけぶり。
[画像]初めて与党になり、防衛政務官になった直後にワシントン国防総省を訪れた後、「この話は一切外に出さないことになっている」と緊張して答える長島昭久さん、2009年11月放送のテレビ朝日ニュースから=2009年11月16日付エントリーから。
[画像]野党としてぶっちゃける、長島昭久さん、2014年8月28日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
さらに長島さんは「現地に行って見て、本当にこんなところに宅地造成して良かったのかとまで、正直言って感じました」とぶっちゃけました。
◇
いったん、場所を民主党本部に移します。
これには、審議後の夕刻に民主党本部で開かれた定例幹事長会見で、大畠章宏元国土交通大臣も「(谷側だけでなく)沢の方に向かって宅地開発をしたのは良かったのか。昭和40年代から高度成長の中で宅地が広がっていったようだが、検証が必要だ。総見直しをすべきだ」と踏み込み、自民党政権時代の広島市内の宅地開発の経緯を調べる考えを示しました。
大畠さんは「(国土交通大臣時代に発災した)3・11以降、津波に見舞われそうなところはハザードマップをつくってもらった。私は広島の現地で、山津波という言葉を思い出した。ハザードマップで地価が下がるという懸念もあるかもしれないが、経済と人命ならば人命を優先すべきだ」として、全国のハザードマップづくりの推進に意欲を示しました。
◇
場所はふたたび委員室に戻り、時計は、朝8時30分。衆・災害特の審議スタートまで巻き戻します。質疑者トップバッターは被災地・広島3区選出の河井克行さんでした。
河井さんは「衆議院」の腕章をして防災服姿で登場しました。
「15年前に土砂災害防止法案の自民党のプロジェクトチームの事務局長をつとめたが、他の県では特別警戒区域、警戒区域の指定が進んでいるのに、広島だけ進んでいなかったのは、県の無策だ」として、広島県庁をなじりました。当時座長だった古屋圭司・防災相は「河井先生はあのころ1期生だった。おっしゃる通り、たしかに濃淡がある」として、広島県庁の無策だとする河井説に賛同しました。河井さんはおとといの総理視察時に同乗したヘリコプターから自分が撮った写真をパネルで見せるなどして質問を進めました。なお、報道で、古屋防災相が土砂災害防止法の改正に前向きな答弁をしたとありますが、私の感覚としては、むしろ秋の臨時国会への提出ではなく、運用の改善をしたい、と言っていたように感じました。いかんせん、自民党は与党なので、ハッキリ物を言わないのでよく分かりません。
【2014年8月28日(木)参議院災害対策特別委員会 第186通常国会の閉会中審査】
[画像]黙祷をする竹谷とし子委員長(中央)や牧山弘恵(牧山ひろえ)野党側筆頭理事ら、2014年8月28日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
安佐北区在住の民主党の森本真治さんが質問。
[画像]森本真治さん、2014年8月28日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
気象庁長官に対して、大土石流発災の前夜に一度洪水警報を解除した経緯について質問。森本さんは「今の気象状況への対応が必要だ」として、きめ細かな気象情報の提供を呼びかけました。
吉川沙織さんは、全国比例ですが、出身県である徳島県の豪雨について質問。長安口ダムの運用について国交省に、平成の大合併をした自治体とそうでない自治体の間に、県内で補助率に違いがでる問題点について総務省に質問しました。
平成26年8月豪雨をめぐる激甚災害指定について、古屋圭司防災相は「台風12号、11号の前線による一連のん災害に幅広くかつ迅速に結論を出せるよう調査を急がせている」として、広島市以外の自治体も指定される可能性を示しました。
【当ブログ内から関連エントリーを全文引用】
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[写真]広島市の土砂すべりの避難所で、被災女性に呼び止められた、長島昭久ネクスト防災相、橋本博明・衆議院広島3区総支部長(右)、松本大輔・同2区総支部長(左)=民主党ニュースから。
「政治家の人たちはだれも来てくれないのかと心細く思っていたが、来てくれてほっとした」
今週2014年8月20日(水)未明、広島県広島市の安佐北区から安佐南区にかけて、豪雨を受けた、同時多発的(おそらく8つ以上)な土砂滑りが起き、太田川沿岸の破壊的な大土石流が起き、家ごと流されたり、土砂崩れの直撃を受けるなどして、現在までの3昼間で、死者40名、行方不明者47名=一時7名から50名まで情報は錯そう=とおよそ87名が犠牲になる大災害が起きました。このもようは、午前6時くらいの夜明けから、NHK・民報各局でヘリコプター映像を交えて報じられ、日本全国にショックを与えました。政府は、こんげつ8月にあった、台風12号、11号=日本列島到来順=の他の被災自治体(調整中)とともに、「平成26年8月豪雨」として激甚災害指定する見通し。
モンゴルから急きょ帰国した、長島昭久ネクスト防災担当大臣が、避難所を訪問。民主党ニュースによると、避難中の女性から呼び止められて「政治家の人たちはだれも来てくれないのかと心細く思っていたが、来てくれてほっとした」と声をかけられました。
大畠章宏災害対策本部長(民主党幹事長兼務)は、記者団に「想像をはるかに超える規模の集中豪雨による土石流の状況を見させてもらった。人命救助最優先ということで現在は動いているが、これと合わせて地域の実情に合った形で、地域の皆さんの要望を踏まえた対応が必要だと感じた」と語りました。
[写真]被災状況を視察する大畠章宏対策本部長(民主党幹事長)、坂上隆司・民主党役員室職員、松本大輔元防衛大臣政務官(2区総支部長)=民主党ニュースから。
大畠衆議院議員が「人命救助最優先」との認識を示したのは、2011年3月11日夜に、国土交通大臣として、徳山日出男・東北地方整備局長(部下3000人)にテレビ会議で語って以来、3年半ぶり(参考エントリー)。ただし、大臣指示だった前回と違い、今回は記者団に語ったものであり、「防災担当の長島議員とも協議し、政府に対して何らかの形で対応を申し入れさせていただく」 。
想像を絶する土砂すべりです。
長島ネクスト大臣は「とにかく、急峻で土石流によって道路が寸断されているため、自衛隊等の重機も入りにくい。泥水の除去と進入路の確保に全力を挙げねばならない」とフェイスブックファンページで発信しました。
長島大臣が携帯で撮影した現場写真(長島昭久フェイスブックファンページより)。
[写真]捜索活動をする自衛官ら、2014年8月22日(金)、広島市内、長島昭久ネクスト防災相撮影。
[写真]平成26年8月大豪雨(?)の現場、2014年8月22日(金)、広島市内、長島昭久ネクスト防災相撮影。
[写真]避難所となっている梅林小学校、2014年8月22日(金)、広島市安佐南区内、長島昭久さん写す。
神奈川県選出の牧山弘恵(牧山ひろえ、2期)さんは、神奈川県から国会にかけつけて、参議院災害対策委員会の閉会中審査を筆頭理事として要求。来週2014年8月28日(木)にも委員会が開かれる見通し。
古屋圭司防災担当大臣は、さっそくきのう21日(木)朝、現地を訪れ、テレビワイドショーで「さきほど午前9時ごろ、このビルの屋上から古屋防災相が視察していきました」と報じられました。
大畠幹事長はきのうの記者会見で「民主党は政権時代に、自民党から、『遅い、遅い』と言われた」としてスピードを強調。
民主党は古屋大臣には1日遅れてしまいましたが、安倍総理には先んじました。
【全文引用おわり】
【当ブログ内から関連エントリー全文引用】
(このエントリーの初投稿日時は、2014年8月26日午前8時半で、そこから、20日23時59分付にバックデート)
激甚災害「平成26年8月豪雨」の被害のなかで、最大となった、広島市安佐南区の八木地区など、安佐南区・安佐北区の土石流・山崩れなどによる死者・行方不明者は88名ほどになりそうな気配です。2014年8月20日(水)の午前3時半ごろの発災からしばらくたっても、88名ほどの方のうち、28名ほどの方が現時点でも、行方そのものが発見できてない状況です。
この災害について、第2次安倍自民党・公明党連立内閣の安倍首相(自民党総裁)の対応が、「遅い、鈍い、心がない」と批判されています。ニュース映像と、首相動静から、時系列ドキュメントで振り返ってみましょう。ドキュメントとは、時系列に事実を羅列する報道形態のことです。
[写真]2014年8月20日午前4時32分ごろのNHKニュース。広島市消防局に、「近くの裏山が崩れている」との住民からの通報があったと報じています=宮崎信行撮影。
[写真]夜が明けた午前7時00分のNHKのヘリコプターによる生中継では、土石流が起きたとみられることと、多くの家が半壊(ないし全壊)していること、水が山から谷に流れ続けていることが分かります=宮崎信行撮影。
首相動静によると、前夜宿泊した山梨県成鳴町の別荘を出た安倍首相は、午前7時26分に、山梨県富士河口湖町のゴルフ場「富士桜カントリー倶楽部」に到着しました。ここで、森喜朗元首相(清和会前会長)、実弟の岸信夫外務副大臣、笹川陽平日本財団会長、日枝久フジテレビ会長、山本有二・自民党衆院議員、加藤勝信・内閣官房副長官、萩生田光一・自民党総裁特別補佐(衆)、茂木経済産業大臣とゴルフを始めました。この後、ゴルフを中断して、出発し、9時22分に別荘に戻り、さらに出発し、高速道路を自動車で官邸に向かいました。
[写真]10時59分に、安倍首相は首相官邸に戻りました。(映像は、フジテレビの2014年8月20日11時40分放送)=宮崎信行撮影。
[写真]総理が官邸入りしたほぼ同時刻(11時過ぎと報道)の現場の映像が上です(フジテレビ、11時40分放送)=宮崎信行撮影。
[写真]11時31分ごろ、ヘリコプターで住民を救助する消防、同時刻フジテレビ放送=宮崎信行撮影。
国会閉会中で、夏休みで、初めから国内にいる予定だった安倍首相ですが、現地入りはここからちょうど5日後、120時間後となりました。
[写真]避難所となっている梅林小学校を訪れた安倍首相、2014年8月25日(月)の午前11時40分ごろ、同日夜のNHKニュースから=宮崎信行撮影。
[写真]現場を初めて訪れた安倍首相、2014年8月25日(月)の午後12時11分過ぎ、同日夜のNHKニュースから=宮崎信行撮影。
[写真]現場を初めて訪れた安倍首相、2014年8月25日(月)の午後12時11分過ぎ、同日夜のNHKニュースから=宮崎信行撮影。
【全文引用終わり】
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