宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

衆・予算委基本的質疑は積極財政派が主導権を握ったこと明白に阿部俊子大臣「文科省一丸でいつもは堅い財務省から給特法を勝ち取った」、田中淳子会計検査官候補は田中邦衛さんの娘の元NHKワシントン支局長

2025年02月04日 18時10分22秒 | 第217通常会 2025年1月召集
 表記ですが、立憲148、維新38、国民28議席ですが、所得税の壁、暫定税率などは玉木雄一郎代表(役職停止)が投げたボールから政局が動いたので、「立維国」でなく「立国維」の順にして表現することが増えると思います。

 財政再建派と積極財政派の闘いは終焉を迎え、「積極派減税系」と「積極派無償系」だけの抗争となります。このうち、無償系は、基金の減額の補正の提案と修正を迫ることになります。

【衆議院予算委員会 きょう令和7年2025年2月4日(火)】
 「令和7年度予算案」は4日目で、基本的質疑3日目(2巡目)でした。あすは「一般質疑1日目・省庁別審査」が開かれます。衆議院規則38条は「委員会に1人又は数人の理事を置く」とあります。理事は1人だけでもよく理事会は法的根拠のない会議対です。9割5分の委員会は、10分前から始まる理事会で、当日どころか次回の日程まで合意しており、委員会が終わればみんな帰ります。予算委だけはテンションが高く、8時40分から理事会が始まり、昼も散会後も理事会を開きます。けさは、理事会がおよそ30分かかり、およそ17分遅れで委員会が始まりました。

 スキャンダル追及なき基本的質疑に面食らったのか、初入閣の大臣の答弁が長い傾向があります。

 自民党の小林茂樹さんは「石破総理、お誕生日おめでとうこざいます」から切り出し、「教師の給特法の改正案」(217閣法 号=今週提出の見通し)を先取り質問し4%から段階的な引き上げを問いました。これに対して、阿部俊子大臣は「文部科学省といたしましては、高度専門職としての教師の職務の重要性にふさわしい処遇を実現するために、先般も実は文部科学省一丸となって努力をさせていただき、いつも堅い財務省でございますが、加藤財務大臣と大臣折衝したときに、やっと約50年ぶりに教職調整額を令和12年までに段階的に10%に引き上げるとともに、教師の職務、勤務状況に応じた処遇となる」とし各種手当の新設とあわせて予算案に盛り込んでいるとしました。

 同僚が大臣をつとめる財務省を「いつもは堅い」と答弁するのは異例。阿部さんは委員会で「分家なので墓に苦労した」と質問するなどオープンな姿勢があります。与野党とも、積極財政派が主導権を握ったことを象徴しています。

 読者がお気づきかどうか分かりませんが、政治改革派として心よりご尊敬申し上げる筆者の後見人・岡田克也さんと本庄知史さんは財政規律派で、ここは筆者は積極財政派です。れいわ新選組・山本太郎代表の記者会見で、「どっかの党の元総理大臣」と暗に立憲幹部を批判した質問をする「黒い宮崎さん」の存在はYouTubeをよく見ている人にはバレバレでしょう。

 立憲は今回、スキャンダルと増税を封印しており、大西税調会長は「暫定税率廃止の法案を用意した」と語り、立国維が賛成しているので、自民党も賛成しろと提案しました。石破さんは「3党(自公国)が協議しているときに政府が言うのは信義に反する」と述べ、党内で決選で投票してくれた宮澤洋一氏への配慮を明確にしました。

 立憲は、金融WTで、緊縮派の階猛さんが「顧問」となり、米山隆一さんを事務局長としつつも、積極派の桜井周さんと藤岡隆雄さんが役員に登用されるなど変化が出てきました。これまでは積極派の福田昭夫さんらは党内人事で干されるのが暗然としたルールでした。が、きょうの質疑は、米山さんが日銀、藤岡さんが政府に問うという役回りになりました。

 2期の藤岡さんは質疑で、臨時国会で「基金減額の補正予算案の減額修正案」(否決)を主導した本庄知史さんの名前を挙げつつ、防衛装備品移転の基金について聞きました。1月29日(水)付1面トップの朝日新聞が元ネタのようでした。今後は、基金を見つけた議員がテレビ入り質問に立てるコースとなりそうです。藤岡さんは、りっけんが左翼と見られないよう、基金は意義があると強調。そのうえで、中谷防衛相は「防衛生産基盤強化法がございましてその中に基金設置の規定があり、どういう場合に入れるかっていう規定がございます」とし「移転先国の候補となる国のニーズに基づいて具体的な案件が形成されますけれどもこれが具体化する時期が流動的であるために、突発的に発生する案件などについては迅速に対応できないと、装備移転の機会を逃がさないようにですね、やはりこれはあの弾力的な支出が可能となるための基金を積み立てております」と述べました。たしかに大臣は嘘はついていないと思います。が、基盤強化法も重要広範議案だったのに、野党も必死に審議していたように思えないので、「5年で43兆円の閣議決定」を蒸し返しての議論につながるかもしれません。

 高額療養費は8月から段階的に引き上げる決定がなされているため、200億円の税金追加だけで見直せるようです。予算の増額修正について、芦辺憲法は、増額はできるが限界があるとする政府統一見解に対して、予算法規範説によって限界がないとする学説が有力だとしています。全国町村議会議長会の「議員必携」では地方自治法で昭和18年から21年までの3年間増額修正禁止規定があったと歴史を踏まえつつ、政府統一見解のあとも款・項・目の新設を伴わない増額修正はできるとしています。高療の200億円が増額修正されると、議会史に残る出来事になると考えられます。

【参・議院運営委】
【衆・議院運営委】

 国会同意人事案は既に政府から提出されており、検査官の田中淳子候補(新任)と挽文子候補(再任)の所信聴取とそれに対する質疑を各々2時間超コースで行いました。田中弥生会計検査院長とあわせて3人の検査官全員が女性となりそうです。田中淳子さんは、田中邦衛さんの娘の元NHKワシントン支局長の人です。田中邦衛さんの数ある出演映画のうち「南太平洋の若大将」(1967年東宝)のロケ地は私の母校・日大二中高です。校庭に柔道場があるのはフィクションですがそれ以外は私の在学当時の風景を映像におさめています。

【与野党協議会】
 調査研究広報滞在費の改正法の8月1日施行に向けた協議がありました。 

【与野党国対委員長会談】
 自民、立憲が、予算委理事会の遅れにつながった松本会計責任者の参考人招致に関して、出張形式も含めて自民が再度検討することで合意しました。

【自公国3党協議】
 政調会長協議が開かれました。税調会長協議は見通しが立っていません。アタマ録りカメラから見て浜口誠さんが奥、古川元久さんが手前に座るのが政調会長協議で、税調の場合は、座り順が逆になります。

【閣議】
 朝8時15分スタートで「所得税法など改正案」(217閣法 号)の提出を決定。

●あすは衆・予算委は史上初とされる「省庁別審査」、参・政倫審、参3つの調査会などが開かれます。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2025年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする