ツアーの後半は、「錫の鋳造体験」、「室蘭市の夜景見学」と興味深いメニューを楽しんだ。特に鋳造体験はなかなか実際に体験するのが難しいと思っていただけに貴重な体験でした。
「室蘭工業大学ものづくり基盤センター」とは、ものづくりを通じた地域との交流の促進、先端加工技術の研究の推進などを目的に開設された施設だそうです。
私たちの体験は地域との交流という趣旨で行われたのでしょう。
※ 室蘭工業大学構内にあった大学を象徴する鉄のモニュメントです。
そこで行った「錫の鋳造体験」は、最初に砂で型を作るところから始まります。予め用意された原型(市町村のカントリーサイン)の上に砂を置いて型をとります。これが「鋳型」です。そこへ溶かした錫を流し込み冷えるのを待って、砂を除き完成です。完成したものを「鋳物」と称します。
このように書くと簡単そうですが、実際には慎重な作業の連続です。ちなみに私は札幌市のカントリーサイン(時計台を描いたもの)を作成しました。
私は以前から砂でどうして繊細な形ができるのかと不思議でした。今回体験してみて、砂とはいってもとても微細な砂で型枠の中で押しつけると非常に硬く固まる性質をもっている砂だということが分かりました。
※ 錫の鋳造行程の一部を写真で…
※ 元になる型を中に入れ、砂を型枠に押し込んで型を取ります。
※ 型に流し込む錫を溶かしています。錫の融点は約230℃です。
※ 溶かした錫を作った型に流し込みます。
室蘭工業大学ものづくり基盤センターの体験がいつでも、誰でも出来るのかについては聞き逃しましたが、学校や団体などは希望によって体験が可能のようです。
国立の大学や研究機関が独立行政法人化されてからは、各大学・機関が積極的に地域貢献に目を向け始めてくれたようです。こうした傾向は大いに歓迎したいと思います。
研究成果などを地域に開くことが、本来の任務である研究活動にも必ずや効果があると思われるからです。
※ 私たちが作成した札幌市のカントリーサインの鋳物です。
この後、室蘭市の道の駅に寄った後、最後の行程である「室蘭市の夜景見学」でした。その時刻16時40分には市内各所の照明にすでに灯が入っていました。冬期間ならではの早い夜の到来が札幌からの日帰りの夜景見学を可能にしてくれます。
担当者が「夜景は辺りが真っ暗になったときもいいですが、薄暮の時間の夜景は一種独特の魅力があります」と説明されましたが、なるほどバスの中から薄暮の中で見る工場群の灯りはとても魅惑的に見えました。このような状態の夜景を「ブルーモーメント」と称するそうです。
さて、本格的な夜景見学は室蘭市の景観を特長づける「白鳥大橋」の夜景が一望できる「祝津展望台」です。つり橋に灯された灯り、橋にいたるループ状の取り付け道路がとても鮮やかに見えました。だだ、残念なことにその光景を写真に収めるにはそれなりの機材が必要で、目で見たような鮮やかさはとても写し撮れませんでした。
※ 「祝津展望台」から観た白鳥大橋の夜景です。
続いて新日本石油の製油所の見事な灯りが眺められる「白鳥湾展望台」です。しかし、ここは灯りが眺められる絶好のポイントからは少しずれていて、バスの中から眺めた道路上からの光景の方が素晴らしく見えました。
※ 「白鳥湾展望台」から観た製油所周辺の夜景です。
全ての体験・観光を終え、札幌までバスで引き返し、19時札幌駅で解散しました。
全体をふり返って感じることは、観光という側面から見たときの室蘭市のポテンシャルの高さです。体験的観光、自然の景観、工場群が市街地を占める特異な景観、どれをとっても魅力的なものです。
翌日、主催者から渡されたアンケート用紙に妻とふたりで話し合いながら記入し、投函しました。私たちの感想も生かされ、ユニークで、魅力的なツアーがたくさん誕生することを期待したいと思います。