田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

三一(みそひと)文字の魅力

2015-09-09 17:12:08 | 講演・講義・フォーラム等
 短歌など自分からは最も縁遠いもの、と考えていたが、なかなか興趣をそそられる講義内容だった。三一文字の魅力にハマったとまでは言わないが、その巧拙にとらわれなければ面白い世界が広がるかも?? 

 道民カレッジの「かでる講座」8月講座が先週31日に終わった(講座内容はブログにアップ済み)と思ったら、9月講座が7日(月)に開講した。
 今回は「現代にとって短歌とは ~三一文字の魅力」と題して、歌人であり、文芸評論家でもある北海学園大学教授の田中綾氏が講師を務めた。

                 
                 ※ 大学のHPから田中氏の写真を拝借

 田中氏は北海道新聞の日曜版で毎週「書棚から歌を」と題する書評欄の執筆を担当しているという。その中から、今回は短歌に関わる話題をいろいろと提供してくれた。
 田中氏はまず、「短歌は日本語使用者の心の『セーフティネット』である」とした。その理由として、①耳に馴染みやすい「五七五七七」というリズムであること。②「時世」の歌の伝統があること。③「新聞歌壇」の存在が身近な存在にしていること、などを挙げた。

 そして、短歌で歌われる「辞世の句」について触れた。自分の生涯をふり返り、その生の意味や、感慨を短く詠むという習慣が日本人の間に広まったという。
 諧謔の巧みな作家として江戸の世を沸かせた十返舎一九は、辞世の句まで諧謔の心を忘れなかったようだ。
 この世をば どりゃお暇(いとま)と 線香の 煙とともに はい左様(さよう)なら

  辞世の句でもっとも多いパターンは、戦国武将や禅僧に多い、この世を儚んだ歌だそうだ。その典型が豊臣秀吉の有名な歌である。
 露と落ち 露と消えにし わが身かな 浪速(なにわ)の事も 夢のまた夢
 
            
            ※ 「かでる講座」で講義中の田中氏です。


 初志を果たし得ぬままに、二・二六事件で銃殺刑となった青年将校の無念さを歌に託したようなタイプもある。
 刀折れ 矢種も尽きぬ 今はただ 名を惜しみてぞ 行かまほしけ

 一方で、短歌は生きていくために詠われる場合も多いという。講座では、神戸の夜間定時制に通う生徒たちの歌が何首か紹介された。その中から一首紹介すると、
 生きる意味 さがし求めて 夜学へと いまだ見えない 明日への光

 続いては、グッと趣を変えて「現代短歌」で題材とされることが多い「コンビニ」についての歌が紹介されたが、その中で「う~ん」と唸らされた一句を…。
 抒情せよ セブン・イレブン こんなにも 機能している わたくしのため

 このようにさまざまな傾向、タイプの短歌を紹介されながら、私は「短歌も面白いかも」と思い始めていた。そして、講座の休憩時間に「ぜひ一句創ってみてください」と講師から言われて、その気になった。
その気になったところで、素養のない者がそうそう簡単にできるわけがない。できるわけがないのに,無理やり五七五七七に文字を当てはめてみた。
 嬉々として 道民カレッジ 通う吾れ 講師の言に よろこびをみる
 おそまつでした……。