えーっ? 図書館と観光ってかかわりがあるの? というのが率直な第一印象だった。講義を伺い、「なるほど」と思うところもあったが、「はてな?」と思うところもあった。図書館と観光のかかわり、という一見かかわりのないこの二つのかかわりについて考えたひと時だった。
地球環境科学研究院の公開講座が終了したと思ったら、続いて今度は観光学高等研究センターの講座が始まった。テーマは「記憶をめぐる観光論 ~アーカイブ構築とアイデンティティ形成~ 」で全7回に及ぶ公開講座である。
その第1回講座が10月1日(木)夜、北大の情報教育館で開講した。
第1講は「図書館は地域のタイムカプセル」と題して観光学高等研究センターの松本秀人学術研究員が講師を務めた。
松本氏はまず、日本の観光の現状に言及した。つまり、日本人の観光の形態が多様化してきていると…。エコ・ツーリズム、ヘリテージ・ツーリズム、グリーン・ツーリズム、ダーク・ツーリズム、スポーツ・ツーリズム、等々…。
つまり、それは観光用に演出されたものではなく、「地に足のついた暮らし」へのまなざしが、そこにはあるという。
例えば、地域の歴史、伝統、文化、景観。地域のエピソード。ネットでは買えない地域の特産品。庶民の文化。等々…。
そして、情報化の進展が旅の多様化を後押ししているという。ネットで、観光スポットの評判を調べ、ホテルの価格を比較して予約したり、他人のブログを参考にルートを作成したり、ネット地図で行先をチェックしたりと…。さらには、旅先からTwiterでつぶやき、帰宅後にブログで報告したりと…。
あれっ、これって私の旅のスタイルに酷似しているではないか!私は松本氏の分析に大いに同意したのだった。
続いて、松本氏は「アーカイブ」について触れた。
日本人は「後世のために文書を残す」という発想・意識が低かったが、ここにきて様々な情報をデジタル化すること、そしてそれをネット上に公開することが進んできたという。
そのデジタル化する、残す、担い手が少ない現状の中で、地域においては図書館の存在がクローズアップされてきているという。
そうした前提に立ちながら、松本氏の専門である現代における図書館の役割的な話へと移っていった。
日本にある図書館の中で、大多数を占める公立図書館は、「貸出中心」の図書館から、情報化が進展する現代において、図書館に新たな存在感が求められているとした。そしてその視点は、地域の活性化に向けて、あるいは地域の情報拠点として何ができるか、が問われているのだという。
松本氏は、今の時代に求められている図書館像を次のように規定した。
1.地域の記憶装置としての図書館 2.情報の濾過装置としての図書館 3.文化の可視化装置としての図書館
さらに図書館は、人と情報、人と人、人とコミュニティが出会える“場”としての図書館であり、知的な相互作用をもたらすファシリテーターとしての図書館となることによって、もっともっとまちづくりに寄与できるはずと指摘した。
さて、講義の内容を全て紹介すると長くなるので、途中を割愛して、テーマに迫ってみると…。
松本氏も、これまで「観光」と「図書館」が結び付けて考えられることは少なかったという。その上で、図書館と観光のかかわりに言及したいとした。
図書館を観光する側から考えると、まずは「本や資料が役に立つ」という。図書館の特性を考えると当たり前であるが、そこへ行くと地域資料が揃い、地域のテーマ性を持った蔵書に出会える。さらに地元出身の作家、地元が舞台の小説等が収集されているという。
次に「サービスが役に立つ」とした。図書館のレファレンスサービスを活用すべきだという。
そして「ホームページが役に立つ」という。今や図書館の蔵書がネットで調べられる時代である。さらには、地域に関する「調べ方ガイド」のサービスをする図書館もあるらしい。そして「デジタルアーカイブ」を整備し始めた図書館も増えてきているという。
こうした図書館の特性をぜひ観光に役立ててほしい、というのが松本氏の本講義のねらいのようだった。
図書館学が専門の松本氏ならではの切り口だと思うが、確かに「観光をよりマニアックに!」と考えている層には傾聴に値する面が多かったが、一般論として観光する側が図書館を利用するだろうか、と考えたときにはちょっと首をひねらざるを得なかった。
一般的には旅の情報誌を借りたり、旅先の情報を得るために図書館を利用するのがせいぜいかな?と思った。
でも良く考えてみると(良く考えてみなくても)、それが松本氏が言う「図書館と観光のかかわり」のきっかけとなるということなのか?
地球環境科学研究院の公開講座が終了したと思ったら、続いて今度は観光学高等研究センターの講座が始まった。テーマは「記憶をめぐる観光論 ~アーカイブ構築とアイデンティティ形成~ 」で全7回に及ぶ公開講座である。
その第1回講座が10月1日(木)夜、北大の情報教育館で開講した。
第1講は「図書館は地域のタイムカプセル」と題して観光学高等研究センターの松本秀人学術研究員が講師を務めた。
松本氏はまず、日本の観光の現状に言及した。つまり、日本人の観光の形態が多様化してきていると…。エコ・ツーリズム、ヘリテージ・ツーリズム、グリーン・ツーリズム、ダーク・ツーリズム、スポーツ・ツーリズム、等々…。
つまり、それは観光用に演出されたものではなく、「地に足のついた暮らし」へのまなざしが、そこにはあるという。
例えば、地域の歴史、伝統、文化、景観。地域のエピソード。ネットでは買えない地域の特産品。庶民の文化。等々…。
そして、情報化の進展が旅の多様化を後押ししているという。ネットで、観光スポットの評判を調べ、ホテルの価格を比較して予約したり、他人のブログを参考にルートを作成したり、ネット地図で行先をチェックしたりと…。さらには、旅先からTwiterでつぶやき、帰宅後にブログで報告したりと…。
あれっ、これって私の旅のスタイルに酷似しているではないか!私は松本氏の分析に大いに同意したのだった。
続いて、松本氏は「アーカイブ」について触れた。
日本人は「後世のために文書を残す」という発想・意識が低かったが、ここにきて様々な情報をデジタル化すること、そしてそれをネット上に公開することが進んできたという。
そのデジタル化する、残す、担い手が少ない現状の中で、地域においては図書館の存在がクローズアップされてきているという。
そうした前提に立ちながら、松本氏の専門である現代における図書館の役割的な話へと移っていった。
日本にある図書館の中で、大多数を占める公立図書館は、「貸出中心」の図書館から、情報化が進展する現代において、図書館に新たな存在感が求められているとした。そしてその視点は、地域の活性化に向けて、あるいは地域の情報拠点として何ができるか、が問われているのだという。
松本氏は、今の時代に求められている図書館像を次のように規定した。
1.地域の記憶装置としての図書館 2.情報の濾過装置としての図書館 3.文化の可視化装置としての図書館
さらに図書館は、人と情報、人と人、人とコミュニティが出会える“場”としての図書館であり、知的な相互作用をもたらすファシリテーターとしての図書館となることによって、もっともっとまちづくりに寄与できるはずと指摘した。
さて、講義の内容を全て紹介すると長くなるので、途中を割愛して、テーマに迫ってみると…。
松本氏も、これまで「観光」と「図書館」が結び付けて考えられることは少なかったという。その上で、図書館と観光のかかわりに言及したいとした。
図書館を観光する側から考えると、まずは「本や資料が役に立つ」という。図書館の特性を考えると当たり前であるが、そこへ行くと地域資料が揃い、地域のテーマ性を持った蔵書に出会える。さらに地元出身の作家、地元が舞台の小説等が収集されているという。
次に「サービスが役に立つ」とした。図書館のレファレンスサービスを活用すべきだという。
そして「ホームページが役に立つ」という。今や図書館の蔵書がネットで調べられる時代である。さらには、地域に関する「調べ方ガイド」のサービスをする図書館もあるらしい。そして「デジタルアーカイブ」を整備し始めた図書館も増えてきているという。
こうした図書館の特性をぜひ観光に役立ててほしい、というのが松本氏の本講義のねらいのようだった。
図書館学が専門の松本氏ならではの切り口だと思うが、確かに「観光をよりマニアックに!」と考えている層には傾聴に値する面が多かったが、一般論として観光する側が図書館を利用するだろうか、と考えたときにはちょっと首をひねらざるを得なかった。
一般的には旅の情報誌を借りたり、旅先の情報を得るために図書館を利用するのがせいぜいかな?と思った。
でも良く考えてみると(良く考えてみなくても)、それが松本氏が言う「図書館と観光のかかわり」のきっかけとなるということなのか?