介護全体のシステムが地域包括ケアシステムへの移行が推進される中、人の死は「病院完結型社会」から、「地域完結型社会」に移行しているという。ところが、私たちは看取りに関する知識や技術について継承していないという。そこで講師の林日本医療大学教授はある挑戦を始めたそうだ。

※ 講師の林教授が立ち上げた「看取りネット」のホームページの扉の写真です。
1月16日(火)午前、札幌大学の公開講座「地域創生入門~地域社会における介護と看取り~」の第15回講座が開催された。本シリーズの最終講座である。
講師である日本医療大学の林美枝子教授は日本の介護のシステムを次のように解説した。
日本は1970年から80年にかけて、死の医療化・病院化が進行して、各家庭で特に姑から嫁のルートで継承されていた看取りの文化が廃れていったという。
ところが近年の日本の高齢化スピードは世界に例がないほどすさまじく1970年7%だった高齢化率がわずか37年後の2007年には21%に跳ねあがった。今後ますます高齢化は進展し、それに伴う多死社会が到来するという。
そのため、政府はこれ以上の医療資源の消費には耐えられないとして、これまでの「病院完結型社会」から、「地域完結型社会」への移行を進めているそうだ。

このことは、誤解を恐れずに言えば、これまでは死期を迎えた人を高価な薬や機器を動員して生き永らえさせることによって莫大に医療費が消費されていた。それは在宅で最期を迎えたいというお年寄りたちの希望にも沿わない現状だった。
そこで政府としては、お年寄りの希望にも沿った「在宅で最期を迎える」という方向に舵を切るシステムとして2012年「地域包括ケアシステム」の導入に踏み切ったということだ。
地域包括ケアシステムとは「地域ごとの医療・介護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワーク」のことだそうだ。林氏によると2025年までには全国的にこのシステムが完成されるということだ。
その際、問題となるのが前述した「看取り」に関してその文化が継承されてこなかったという問題である。そこで林氏は「看取りネット」を立ち上げ、自宅で家族介護を行っていた家族介護者や、家族の在宅死を看取った介護遺族の語りから、介護や看取り文化の再生のための情報を集めることを目指しているそうだ。
2015年5月に「看取りネット」を試験的に公開し、修整を繰り返しながら2025年には完成を目指しているということだが、実は現在のところは思っていたほどの情報の収集、ネットへのアクセスがないとのことで、今後の軌道修正も課題となっているとのことだった。
しかし、集まってきた「看取り語り」からは、貴重な情報も寄せられていて、今後の展開に希望を持ってもいるようだった。
私も「看取りの語り場」というページを読ませていただいたが、当事者には参考になる事例が紹介されていて、看取る側の心構えなども学べる貴重なサイトではないかと思った。
「看取りネット」は、今後多くの人が頼りとするサイトになっていくのではないだろうか?
※なお、半年間にわたった札幌大公開講座「地域創生入門~地域社会における介護と看取り~」もこの日をもって最終講義となっ た。私は15回の講義のうち、11回に参加することができた。私自身が老境に入ろうとしている今(そのような気持ちはまだまだないのですが…)、参考になることが多かった講座だった。

※ 講師の林教授が立ち上げた「看取りネット」のホームページの扉の写真です。
1月16日(火)午前、札幌大学の公開講座「地域創生入門~地域社会における介護と看取り~」の第15回講座が開催された。本シリーズの最終講座である。
講師である日本医療大学の林美枝子教授は日本の介護のシステムを次のように解説した。
日本は1970年から80年にかけて、死の医療化・病院化が進行して、各家庭で特に姑から嫁のルートで継承されていた看取りの文化が廃れていったという。
ところが近年の日本の高齢化スピードは世界に例がないほどすさまじく1970年7%だった高齢化率がわずか37年後の2007年には21%に跳ねあがった。今後ますます高齢化は進展し、それに伴う多死社会が到来するという。
そのため、政府はこれ以上の医療資源の消費には耐えられないとして、これまでの「病院完結型社会」から、「地域完結型社会」への移行を進めているそうだ。

このことは、誤解を恐れずに言えば、これまでは死期を迎えた人を高価な薬や機器を動員して生き永らえさせることによって莫大に医療費が消費されていた。それは在宅で最期を迎えたいというお年寄りたちの希望にも沿わない現状だった。
そこで政府としては、お年寄りの希望にも沿った「在宅で最期を迎える」という方向に舵を切るシステムとして2012年「地域包括ケアシステム」の導入に踏み切ったということだ。
地域包括ケアシステムとは「地域ごとの医療・介護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワーク」のことだそうだ。林氏によると2025年までには全国的にこのシステムが完成されるということだ。
その際、問題となるのが前述した「看取り」に関してその文化が継承されてこなかったという問題である。そこで林氏は「看取りネット」を立ち上げ、自宅で家族介護を行っていた家族介護者や、家族の在宅死を看取った介護遺族の語りから、介護や看取り文化の再生のための情報を集めることを目指しているそうだ。
2015年5月に「看取りネット」を試験的に公開し、修整を繰り返しながら2025年には完成を目指しているということだが、実は現在のところは思っていたほどの情報の収集、ネットへのアクセスがないとのことで、今後の軌道修正も課題となっているとのことだった。
しかし、集まってきた「看取り語り」からは、貴重な情報も寄せられていて、今後の展開に希望を持ってもいるようだった。
私も「看取りの語り場」というページを読ませていただいたが、当事者には参考になる事例が紹介されていて、看取る側の心構えなども学べる貴重なサイトではないかと思った。
「看取りネット」は、今後多くの人が頼りとするサイトになっていくのではないだろうか?
※なお、半年間にわたった札幌大公開講座「地域創生入門~地域社会における介護と看取り~」もこの日をもって最終講義となっ た。私は15回の講義のうち、11回に参加することができた。私自身が老境に入ろうとしている今(そのような気持ちはまだまだないのですが…)、参考になることが多かった講座だった。