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あなたはだれかのために、何ができますか?

2018-11-03 20:35:22 | 講演・講義・フォーラム等

 表記スローガンのもとに、今年も「北海道教育の日」制定記念行事が開催された。今回も北海道内の二つの実践事例が報告され、参加者の方々に多くの刺激と感銘を与えてくれ、私もおおいに学ぶことができた。

 

 11月1日(木)午後、ホテルライフォートにおいて「北海道教育の日」道民運動推進協議会が主催する『「北海道教育の日」制定記念行事』が開催された。私も主催者の一員としてこの行事の開催の企画・運営に関わった。

           

 タイトルのスローガンであるが、一部の方からは過去に酷評をいただいたが、私が会の事務局長を担っていた時に作成したものである。内部的には意外に好評で三期続けて「あなたはだれかのために、何ができますか? ~子どもたちに「共に歩もうとする力」を~」というスローガンのもとに開催された。

 

 今年の実践報告は、森町で子どもたちの木育に協力している(株)ハルキの企画開発室々長を務める鈴木正樹氏「木育で地域をつなぐ~森小学校(森町)天板交換プロジェクト~」と題して報告された。

 続いて、北広島市のコミュニティ・スクールの実態を北広島市教育委員会の小中一貫教育課長の冨田英禎氏「北広島市立西部小・中学校 9年間の学び コミュニティ・スクールの推進~地域とともにある学校づくり」と題して報告された。

 

 ここでは二つの実践報告について簡単にその概要をレポしたい。

               

 森町の(株)ハルキは道南スギをプレカットして住宅用建材として提供する木材会社である。その木材会社という特徴を生かして子どもたちにさまざまな形で「木育」に協力しているという。

 その代表例が森小学校の子どもたちの机の天板を交換するプロジェクトだという。この場合、会社に教室の天板の交換の協力要請があったということだが、単純に天板を大人たちが交換するだけじゃ「面白くない」と考えたところが鈴木氏をはじめとしたハルキの方々の特色である。

 ハルキでは、天板の交換を子どもたちの手で行うことを計画して実施したという。ここにハルキの「木育」の考え方がある。子どもに天板交換を指導するということは、その手間は大人が手がける何倍もその準備や実施に時間がかかるが、それを考えても子どもたちの手で交換させることを選択したところにハルキの素晴らしさがあると思う。

 ハルキでは、天板交換プロジェクトばかりでなく、木材会社の特徴を生かしたさまざまな「木育」に取り組んでいるという。その成果を期待したいと思う。

 鈴木氏の言葉にはときおり「面白くない」という言葉が出てきた。同じことをするなら「面白さも加味して」というのが、鈴木氏や会社の方々のキーワードのようだ。どこかで聞いたことがある「どうせやるなら楽しく!」…。何かコトを起こすときには大切なキーワードのように思う。

 

                

 続いての北広島市のコミュニティ・スクールであるが、学校関係者以外にはあまり馴染みのない言葉かと思われる。コミュニティ・スクールとは、日本では「地域運営学校」とも称され、一言で言えば「保護者や地域住民が一定の権限を持って運営に参画する新しいタイプの公立学校」ということが言える。

 北広島市では、市の西部地区(西部中学校区に属する西部小学校・西部中学校地域)において平成25年度に「西部コミュニティ・スクール」を発足させたという。

 北広島市の場合、保護者・学校の教職員・地域住民・行政の職員・学識経験者などで運営協議会を設置して、その中に【地域コーディネート部】、【学校支援部】、【広報部】の三部を設け、それぞれの守備範囲において協議、実践を重ねているという。

  具体的には、【地域コーディネート部】は、地域における行事の推進、児童・生 徒の健全育成及び安全指導(防災な ど)に関する活動のコーディネートに関する活動で、○諸機関の活動予定の交流・調整 ○子どもの抱えている諸問題 ○子どもの健全育成及び安全指導 ○健全育成に関する行事協力 ○地域における交流行事の推進 ○ボランティア活動の推進、などを行っているという。

 【学校支援部】は、教育活動への保護者・地域人材の 積極的な参画促進に関する活動を担い、○授業、校外学習、地域学習の 支援・補助 ○学習環境整備の支援・補助 ○各種検定試験の補助 ○学校行事に関する支援・補助 ○その他、教育活動への参画

 そして【広報部】は、地域・保護者・学校の活動や 委員会の活動等、情報の送受 信を推進し、CS活動の活性 化を図る活動を担い、○CSだより(カレンダー) の作成・配付 ○ホームページの充実 ○児童生徒の様子、活動の様 子等の積極的紹介 ○ボランティアの声、地域・ 保護者からの要望等の受信 ○啓発用パンフレットの作成 ・発行 などを行っているという。(※ CSとは、コミュニティ・スクールの略である)

 お話を伺っていて少し残念だったのは、報告があまりにもお役所的に聞こえてきたことだ。私が期待したのは、コミュニティ・スクールを導入して、子どもも地域も生き生きとしてきたという具体的な姿の報告を聞きたかったなあ、と思いがあった。

 そのことは別にしても、北広島市では市内の他地域へもコミュニティ・スクールを導入する計画があるという。きっと、そのメリットを多くの関係者が感じていられるからだと思われる。

  地域全体で子どもを育てていくという空気が、多くの地域に広がっていくことが「北海道教育の日」の趣旨でもある。二つの実践報告は、その意味で意義ある報告だった。