田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画が教えてくれる北海道

2018-11-01 22:53:30 | 講演・講義・フォーラム等

 北海道を題材にしたり、北海道がロケ地になったりする映画は数多い。そうした映画の歴史を辿ると、そこには北海道の歴史も見えてくるという。今回の講座では“産業”にスポットを当てての解説があり、そのダイジェスト版を見た。

           

          ※ 講師の高村氏が監修して制作した「北海道ロケ地マップ100選」のリーフレットです。

 本日(11月1日)午前、道立近代美術館において「美術講座プレミアム」の第4回講座が開講された。

 今回は「映画が教えてくれる北海道《産業の歴史》」と題して、北の映像ミュージアム副館長の高村賢治氏が講演された。

 

 高村氏によると、映画草創期から今日まで北海道をロケ地とした映画は計467本製作されているという。

 その中で最古のものは、1932(昭和7)年に制作された「熊の出る開墾地」という映画だそうだ。

 つまり当時は映画界においても北海道はまだまだ未開の地で、熊が出没するようなところとして描かれていたということである。

 北海道の開拓、開墾を描いた映画としては、その後「大地の侍」(1956年)、「新しい風」(2004年)、「北の零年」(2005年)などがあるそうだ。

                

 北海道の「産業・経済」を描いた映画としては、「ジャ万と鉄」(1949年)、「馬喰一代」(1951年)、「女ひとり大地をゆく」(1953年)、「北海の虎」(1953年)、「赤いダイヤ」(1964年)、「社長忍法記」(1965年)などを挙げた。

 

 続いて、北海道の先住民族であるアイヌ民族を描いた映画として、「君の名は」(1953年)、「森と湖のまつり」(1958年)、「コタンの口笛」(1959年)、「大草原の渡り鳥」(1960年)、「死闘の伝説」(1963年)、「ジャコ万と鉄」(1964年版)を挙げた。

 

そして、北海道の大地を異国に見立ててロケをした映画も数点あったそうだ。そうした映画として「田園交響曲」(1938年)、「白痴」(1951年)、「人間の条件」(1959年)、「不毛地帯」(1976年)などがあるという。

 

 高村氏のお話はここまでは前置きで、ここから北海道の産業に焦点を当てた映画の紹介に移り、映画のダイジェスト版も映写した。

 まずは、北海道の炭鉱を描いたものとして「女ひとり大地をゆく」(1953年)は女性の炭鉱労働者を描いたもの、「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)、「駅 STATION」(1981)は炭鉱街を背景としたものである。

 そして北海道の漁業を描いたものとして前出の「北海の虎」や「ジャコ万と鉄」(1964年版)、さらには南茅部の昆布漁を描いた「海猫」(2004年)などがあるという。

                

 続いて北海道の農業・酪農を描いたものとして「家族」(1970年)、「遥かなる山の呼び声」(1980年)、「銀の匙」(2014年)を挙げた。

 

 例外編として、大スター高倉健の出世作ともなった「網走番外地」がある。「網走番外地」は大当たりとなり続編が実に18作も制作されたそうだ。

 高倉健は「網走番外地」ばかりでなく、北海道に縁の深い俳優である。彼の総出演映画205本中、31本が北海道でロケされたものだそうだ。

                

 高村氏は特別お話をまとめられるようなことはなかったが、北海道という地域が映画の題材としていかに優れているかということ、さらには映画から学べることが数多いということを言外に語っていたと受け止めた。

 話は違うが、高村氏の肩書となっている「北の映像ミュージアム」であるが、「さっぽろ芸術文化の館」が閉鎖したことによってミュージアムも閉鎖を余儀なくされ、閉館状態である。私も一時期お世話になった施設である。一日も早く再開してほしいものである。