“泣かせる映画だな”という予想はあったのだが、これほどはまってしまうとは! 涙腺がすっかり緩くなった田舎オヤジだが、私だけではあるまい観賞していたほとんどの人が涙しながら観たに違いない。魅せる映画だった…。
11月6日(木)夜、道立道民活動センター(通称:かでる2・7)内の6階に事務所を置く「女性プラザ」が「女性プラザ祭2018」の一環として映画会を催したのに参加した。女性プラザ主催ということでさすがに女性の姿が目立ったが、男性も4~5人の姿が見えた。
そこで上映されたのが、2000年に制作・公開された「おにいちゃんのハナビ」だった。
詳しいストーリーの紹介は避けたいと思うが、映画は400年の伝統を誇る花火で有名な新潟県小地谷市片貝町が舞台となっていて、実話をもとにしたストーリーだという。白血病を患った妹と、引き籠りになってしまった兄との兄妹愛、家族愛を描いた映画である。
白血病を患いながらも明るくふるまう妹は、兄を引き籠りから救うために懸命に努力をする。そのかいあって兄はなんとか立ち直る。そんな妹に兄は妹がいとおしく、妹の病気が全快するようにと願うのだが、「おにいちゃんが作った花火を見たい」と言いながら息をひきとる。
兄は妹が亡くなってしまったが、妹の思いを叶えようと花火職人に弟子入りして妹のための花火作りに打ち込む。そして片貝町の花火大会の日を迎えた…。
この映画でなぜ泣かせられたのか?私は二つの要因を考えた。
一つは、映画が実話をもとに制作されたということである。事実に勝るものなし。創作の場合、観客の感動を呼ぶにはかなり高いレベルが要求されるが、実話の場合は観客はそのバックボーンに思いを寄せる場合が多いために共感を得やすいということがある。
二つ目には主演を務めた二人の若い俳優の演技力である。兄の太郎を演じた高良健吾、妹の華を演じた谷村美月の二人がとても自然に演じていたところに感動を与える伏線があったように思われる。お涙頂戴的なところが少しでも垣間見えると、観客は引いてしまうところがあるが、この映画においてはそのようなところがまったく感じられないほど自然な演技が板に付いていた二人だった。二人を支えた両親役の大杉漣、宮崎美子も良い味を出していた。
※ 主演の高良健吾と谷村美月のプライベートなファッションに身を包んだ二人です。
そうした要因も含めて、この映画を勝利に導いたのは脚本の西田征史と監督の国本雅広に依るところが大きいということかもしれない。いい映画だった…。