田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

札幌交響楽団 & 服部百音

2018-11-07 17:06:46 | ステージ & エンターテイメント

 久しぶりの管弦楽だった。管の音が、弦の音が、混然一体となって素晴らしいハーモニーを創り、それが私の聴覚をはじめとした全ての感覚をくすぐる。さらに、ゲストで登場した服部百音のヴァイオリンが絶妙のスパイスを加えてくれた。久しぶりの管弦楽の音に酔った午後のひと時だった。

         

 11月6日(火)午後、札幌コンサートホールKitaraにおいて「タナカメディカルグループ主催 札幌交響楽団 招待コンサート2018があり、招待状が舞い込んだので鑑賞する機会を得た。

 

 本格的な管弦楽のフルオーケストラを聴くのはいつ以来だろうか?と調べてみたら、7月7日のPMFのオープニングコンサート以来だった。

 オープニング曲の◇チャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」より“ポロネーズ”が始まると、あの優しい弦の音が耳に心地よく響く。歯切れよくテンポを刻むヴァイオリンの音にしばし耳を傾けた。

 

 続いて登場したのが、この日のゲストソリストの服部百音(もね)だった。彼女はまだ若干20歳の新鋭であるが、音楽一家の服部家(曾祖父 服部良一、祖父 服部克久、父親 服部隆之 いずれも作曲家として名高い)に生まれたサラブレットである。幼少の頃からヴァイオリンに親しみ、すでに国内外で数々の賞に輝くなど、国内第一線級のヴァイオリニストだという。

               

 確かに彼女の腕は卓越していた。彼女は札響をバックに、◇ラヴェルの「ツィガーヌ」、◇マスネの「タイス瞑想曲」、◇ワックスマンの「カルメン幻想曲」のそれぞれ曲想の違った三曲を披露してくれた。

 一曲目、三曲目の技巧を凝らした演奏も素晴らしかったが、私には二曲目の「タイス瞑想曲」が印象的だった。曲紹介に“官能的な旋律”というフレーズがあったが、私には“官能的な旋律”という意味が良く分かっていなかった。服部百音が弾く繊細でゆった~りとした音は、私の身体の奥底に響いてくるように聴こえた。「なるほど、このような音を官能的というのか…」と納得した次第だった。

 彼女の演奏に対して、会場からは万雷の拍手が絶えることなく贈られた。

 それに対して彼女は◇イザイの「無伴奏ヴァイオリンソナタ 第2番イ短調第4楽章」を演奏して応えた。

 

 休憩を挟んで、最後は札幌交響楽団による◇メンデルスゾーン作曲の「交響曲第4番イ短調op.90『イタリア』」が演奏された。

 各章ごとに曲調が変わり、聴いていてとても分かり易く、イタリアの情景を思い浮かべることができた交響曲だった。

 

 タナカメディカルグループは、札幌市内において病院だけではなく手広く「サ高住」などを経営しているグループのようで、そこに入居する高齢者の方々が聴衆に目立った。そうした入居者へのサービスと共に、私たち市民に対しても広く開かれたコンサートを開催してくれることはなんとも有難いことである。