申し訳ありませんが、①から読んでいただければ幸いです。
「家族のたどる心理的ステップ」(その2)~杉山孝博著「ぼけの法則」 よりの2回目です。(今日でおしまいです)
【第3ステップ・・・諦め】;
「今までこんなことをさんざん繰り返してきたが、効果がない。かえって混乱がひどくなる。」ということに気づき、無理なことや無駄なことはしなくなってくる段階です。
自然に痴呆のお年寄りに対する介護とはどういうものであるか、わかるようになってくるのです。
しかし、一方ではお年寄りのぼけの進行も早く、次々と介護の難しい症状を表してくるのもこの時期。一息つく間もなく新しい問題行動が始まり、やっと「あきらめ」の段階に入ったつもりなのに、再び第2ステップ「混乱・怒り・拒絶」に戻り、苦しい思いをすることもあるでしょう。
しかし、二度目には「あきらめ」の境地に戻るまでの時間は短く、多彩な症状になす術もなく振り回される期間はそれ程長くはありません。この段階では、痴呆の症状は家族や隣人にも周知の事実になって、家庭での介護は以前ほど困難ではなくなっているからです。
【第4ステップ・・・受容】;
この段階になると、痴呆に対して様々な方向から理解が深まってきて、痴呆症状を呈するお年寄りの心理が手に取るように分かってきます。痴呆の症状を理解することが、お年寄りと介護者との関係をよりよいものに変化させたといえるでしょう。
ぼけたお年寄りを、健康な人たちの日常生活に引き込もうとする、いわば「老い」に逆行した行為が介護者に「混乱・怒り・拒絶」の感情をもたらしていたのです。
第4ステップの「受容」の段階に至って初めて、痴呆の進行方向と一致した介護・看護が始まることになり、お年寄りとしてもこの時点から介護する人に安心して身を任せられる状態になります。
つまり、家族全員がお年寄りの異常な行動を「ぼけがあるからあたりまえ」と受け止めることができるようになったときから、それまで迷惑な存在としてのみとらえられていたお年寄りたちは、再び家族の一員として迎えられることになるのです。
以上、3回にわたって、老人性痴呆症とはどういうものか、どういう病気か、さらにそのような高齢者を抱える家族の心理等について、お知らせしてきましたので、これからアップしていこうとしている私の母の行動やそれに対する私を筆頭にした家族の対応等について、ある程度は理解が深まってきたのではないかと思います。