『母なる夜』
カート・ヴォネガット、1984、『母なる夜』、白水ブックス
主人公ハワードは、対戦中のドイツとアメリカの二重スパイ。なりたくてなった訳でもなく、成り行きでそうした状況にいきつく。
やがては戦争が終わり、すんでのことでドイツ崩壊のさなか、アメリカに救われてニューヨークにひっそりと住みつく。しかし、かれのもとに、アメリカのファシスト、ソ連のスパイ、シオニストがやってきて、引っ掻き回す。
彼の愛した妻を大戦中に失い、ハワードをソ連に拉致すべく餌としてニューヨークに送られてきた彼をこよなく愛してきた妻の妹を失い、そしてまた、こうした、混乱の中を、またまた、アメリカのスパイの元締めが彼を救う。
しかし、かれのよすが、あるいは、アイデンティティはもはや、イスラエルの戦犯裁判に自首するしかないほどに追い込まれる。しかし、ここにもアメリカのスパイの元締めから、彼を救うべく手紙が裁判所当局におくられる。かれには、戻る場所はどこにもなく、「Auf wiedersehn!」のことばを残し・・・。
ハワードのように劇的な右往左往はないかもしれないが、われわれ誰しもがおくるこの人生、それでも、決別のことばを残して去るのかそれとも、喜びのことば、あるいは、悔悟の涙・・・?。われわれの人生の不条理を描くヴォネガットの名作。
主人公ハワードは、対戦中のドイツとアメリカの二重スパイ。なりたくてなった訳でもなく、成り行きでそうした状況にいきつく。
やがては戦争が終わり、すんでのことでドイツ崩壊のさなか、アメリカに救われてニューヨークにひっそりと住みつく。しかし、かれのもとに、アメリカのファシスト、ソ連のスパイ、シオニストがやってきて、引っ掻き回す。
彼の愛した妻を大戦中に失い、ハワードをソ連に拉致すべく餌としてニューヨークに送られてきた彼をこよなく愛してきた妻の妹を失い、そしてまた、こうした、混乱の中を、またまた、アメリカのスパイの元締めが彼を救う。
しかし、かれのよすが、あるいは、アイデンティティはもはや、イスラエルの戦犯裁判に自首するしかないほどに追い込まれる。しかし、ここにもアメリカのスパイの元締めから、彼を救うべく手紙が裁判所当局におくられる。かれには、戻る場所はどこにもなく、「Auf wiedersehn!」のことばを残し・・・。
ハワードのように劇的な右往左往はないかもしれないが、われわれ誰しもがおくるこの人生、それでも、決別のことばを残して去るのかそれとも、喜びのことば、あるいは、悔悟の涙・・・?。われわれの人生の不条理を描くヴォネガットの名作。
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