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『供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)』

アントニオ・タブッキ、2000、『供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)』、白水社

須賀敦子つながりの読書。第二次大戦期におけるポルトガルの情況に仮託してイタリアの1990年代の政治状況にも言及するというのだが、それは、よくわからない。
設定として、主人公の元新聞社記者のペレイラは、一般市民の行動、政治的な信条に基づいているわけでもなくその他の動機で結果的には政治的な行動をしてしまっているという情況を語っている。これは、これで興味深いのだけれど、しかし、編集長との会話の中で、主人公のペレイラが執筆した文芸欄のドーテの翻訳、例の「フランス万歳」がある種のターニングポイントになっている。
さて、ドーテの作品の理解について、現時点では、アルザスは第一次大戦以降、サスペンドされていた地域で、もともとは、アルザス語の人々の暮らす地域は、ドイツとフランスがヨーロッパの政治状況の中でどちらが支配権を確立するかによって、帰属が決定されるという微妙な地域であると言う前提を考えに入れる必要がある。るまりは、アルザスの人々にとっては、どっちでもよく、好きにしろと言う立場。それにたいして、ドーテの作品はフランス側の立場からのものということになる。しかし、本作品では、編集長は、フランコ政権のスペインに加担するポルトガルという立場での発言を求めるので、「民族主義的な」フランス万歳はいかがか、という話題が挿入されることになる。最後、狂言回しの青年がポルトガルの右翼グループによって殺害されたことを逆手に取って、所属する新聞の文芸欄の死亡記事として投稿するというペレイラの企図につながってゆく重要なモチーフなのである。
しかし、もう少し考えてみると、ドーテの作品は、決して編集長の意図にそぐわないテーマであるとも見える。つまり、ドーテの作品の主人公の学校教師は、フランス人で、ドイツ軍の進駐と言う状況にあたる、最後の授業において「フランス万歳」と叫ぶのだが、しかし、アルザスの小学校の児童たちは、支配者が単に入れ替わるという情況にすぎず、さほどの同様を示すとは思えず、彼らにとっての状況は全く変わらない。とすると、ペレイラの上司たる新聞社の編集長の思い、あるいはペレイラへの意図はははたして何だったのだろうか。また、ペレイラの家に侵入したポルトガルの右翼たちの行動は何だったのだろうか。
タブッキが描こうとしたのは、単なる誤解(ドーテの作品についての古くからの理解を踏まえていること)の虚しさであったのか、それとも情況を誰もが理解できないことにあたっての杞憂か、それとも、誤解が悲劇を生むということであったのか。

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
アントニオ・タブッキ
白水社

2018-07-19 21:24:08 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


牛肉とポルチーニフンギのクリームソースパスタ、トマトとスモークサーディンとベビーリーフのサラダ

牛肉とポルチーニフンギのクリームソースパスタオリーブオイルで予め塩コショウした牛ロース薄切りを玉ねぎ薄切りとともにソテー、水で戻したドライポルチーニフンギを絞りながら加えて炒める。戻し汁+赤唐辛子+パスタ茹で汁を加えてしばらく加熱。アルデンテに茹でたカサレッチェパスタをくわえてソースをからめて出来上がり
トマトとスモークサーディンとベビーリーフのサラダ:トマト、スモークサーディン、ベビーリーフ、ブロッコリースプラウト、さいの目に切ったパルメジャーノ。

2018-07-19 21:01:27 | 夕食・自宅 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


7月18日(水)のつぶやき


2018-07-19 10:05:40 | tweets | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )