映画「バベットの晩餐会( HDニューリマスター版)」

随分前に見たことがある気がするが、リマスター版という惹句に引かれて見てみた。ユトランドの貧しい海岸の村、ルター派の牧師の美しい娘二人、父がなくなったあとも、年老いた信者たちをつなぎとめていた。しかし、年とともに信者たちの相互関係が納得していく。
物語の前半は美しい娘二人に思いを寄せる二人の男、いずれも思いを遂げることなく去っていくが、二人のもとにその一人の男からパリの侍女であったという女が送り込まれ、不相応ながらも無償の下女となって使えるようになった。彼女の作る魚のスープを近隣の老人たちに給食することで娘二人は人々とのつながりを続けている。
下女のバベットは宝くじで1万フランを引き当てたというので姉妹に父の生誕100年の祝の晩餐会を用意させてほしいと願い出てたくさんの食品やワインを取り寄せる。実は彼女は、パリ革命で追われたカフェ・アングレの女シェフだった。
元信者やかつて想いを寄せ、姉妹の元をさって将軍に昇進した男とや領主の伯母も招いて晩餐会が開かれる。ウミガメのスープに始まり、様々なパリの豪華なメニューやワインで心和やかになった信者たち・・・。
辺鄙な海浜の村の様子と供される料理の数々。わたしが、この映画をそもそも見たいと思って、随分前に見た理由は、簡単な話で「ウミガメのスープ」だった。若い頃過ごしたミクロネシアのサンゴ礁の小島で味わった最上の食べ物はウミガメのモツと血液のスープだったのだ。今思い出してもあれ程の味にはあったことがない。一切の調味料はなく、ウミガメの血液に含まれる塩分と旨味ただそれだけだった。

