使い込まれた古い蓄音機が郷土館に持ち込まれました。あちこちがガタついています。まずは一つずつ動作具合をチェックしました。まずは、レコードを載せる円盤(ターンテーブル)がどこかで擦れるようでギシギシと音がでます。音の周期から円盤が偏心しているのに違いありません。次に、音を拾うピックアップを引き出すとレコードに接触しまいます。そして、回転するレコードが次第に止まってしまいます。ピックアップの根元がぐらぐらしてすることが原因です。ちなみに、ゼンマイを巻き取るレバーは正常に回せます。そして、ピックアップを軽く持ち上げると音が出ます。続いて、蓄音機を分解してみることにしました。
根元がぐらぐらするピックアップ、回転するレコードに接触
分解するためには、あちこちのネギを取らなければなりません。そのネジの規格がバラバラでした。何度か修理したようですが、その都度手持ちのネジを使ったようです。困ったのは、昔のネジはほとんどすべてマイナスネジです。今のようにプラスネジではないため、ネジが回しずらいこと。それでも何とか蓄音機を分解することができました。
角が擦れた蓄音機 ピックアップ用鉄針箱 ゼンマイを巻き締め
分解して一番驚いたのは、ピックアップの音を拡声する装置がコールタールのようなものが塗られていたことです。そして、拡声装置のラッパ部に大穴が開いてしかもつぶれていたことです。このような穴が開いていると音が抜けてしまいます。そして、レコードから拾った音が拡声できなくなります。これは何かでふさぐしかありません。また、機械部は調速器の動きが滑らかではありませんでした。摩耗が見られました。最低限油を差すなどの処置が必要です。ちなみに調速器の役割は回転速度を一定に保つ働きがあります。
大穴が開き、つぶれた拡声部 動きがなめらかでない調速器