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ローカルシィンキングを育む

2007年11月28日 | 教育ノート
 振り回されてはいけない、と思う。
 利用し、取り込んで、仕事を強くしていく…そんなふうにイメージして形作っていくことだ。
 漠然とした思いではあるが、書くことによって畳み込んでいきたい。


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 文集「かっち道」の審査をしていて思い出したことがありました。
 昔、審査の折にあるベテランの先生がこんなふうに言っていたものです。

「ええ作品だなあと思うものは、みな『出稼ぎ』と『盆踊り』と『べご(牛)』ばりだなや」

 郡市の詩文集はずいぶんと歴史があるのですが、時代が「昭和」であった頃はやはりそうした題材の作品が目立っていたように思います。それがいつ頃からか、そんなに取り上げられなくなり、いつの間にか数少なくなってしまったことに気づきます。

 11月上旬、岡山県で開催される研究会に参加する機会がありました。大会二日目のシンポジウムには、地元代表として倉敷市にある大原美術館の大原理事長さんと、AMDA(アジア医師連絡協議会)というNGOの代表である菅波茂さんでした(実はもう一人、元水泳選手の木原美知子さんが予定されていたのですが、直前に急逝され叶いませんでした)。
 災害地や戦地への緊急支援活動の先頭に立つ菅波さんのメッセージはとても熱いものでした。話の中でとても印象深い言葉を投げかけられました。

 ローカルシィンキング グローバルアクション (Local-thinking Global-action)

 「地域に根ざした考え方こそが、世界へ開かれた行動につながる」という捉え方でしょうか。

 出稼ぎが減り、祭りや盆踊りが観光的に脚光を浴びることは好ましいに違いないわけですが、地域の生活が標準化され平板化され、子供の心に強く残るものが減っているという一面も持っているようです。家畜の世話、田畑での労働も子供の手に届かなくなっています。
 実際に手で触れ、身体を動かし心を揺さぶられる体験が少なくなっていることは確かでしょう。それが、思考を形づくることに影響を及ぼしているのは明らかです。
 そんななかで、子供たちのローカルシィンキングはどのようにして育んだらいいのでしょうか。

 学校でも地域素材を取り上げたり、「ふるさと学習」の活動をしたり、計画的に行っていますが、まず何より毎日の生活を見つめるという習慣づけが大切と思います。
 子供たちを取り巻く自然環境、社会環境はきっと働きかけてくれるはずです。
 例えば「雪」はまさしくその代表と言えますが、雪で遊んだり、雪道を歩いたり、雪かきをしたり…そんな暮らしの中で生まれる文化はやはりこの地方独特と言えるでしょう。
 寒い、難儀だ、古臭いとばかり言わないで、季節の自然に向き合う生活が子供たちにもたらす力を信じたい、そんな12月です。
(12/1予定)
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