すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

いちいち、いちいち

2011年11月11日 | 読書
 震災でキャンセルになってしまったが、楽しみにしていた落語会があった。
 柳家花緑と春風亭昇太という、落語を少しでも知っている人にとっては豪華な組み合わせ。残念ながら再公演の日は都合が合わなかった。

 そんなことでまだ聞いたことのない一人となる花緑の文庫本があったので読んでみた。

 『僕が、落語を変える』(柳家花緑+小林照幸 河出文庫)

 小林照幸というノンフィクション作家が、いわゆる聞き書きスタイルで花緑のことを語ったものである。およそ十年前に単行本が出されている。
 この十年は、俄か落語ファンの私にとっては範囲の広がった楽しい時期だった。その中で花緑と言えば、あの人間国宝「小さん」の孫という認識のままであり、注目されていることは知っていたが、私の狭い範疇ではめぐり逢わなかったというのが事実である。
 ただテレビ番組での「寿限無」はずいぶん有名になったらしく、なんと国語教科書(光村6年)にも顔写真入りで載っているではないか。

 さて、この本の内容はいわば落語家エリートとも言うべき花緑の光と陰の部分を伝えるものだが、いずれ凡人のはかり知れない、芸能の「伝統を担う」ことの重みがその端々から伝わってくるようだった。
 伝統芸能の世界にある「襲名」ということの本当の意味を、私はなかなかつかめないが、そこに込められた感覚はやはりその世界に染まった者でなければ受けとめることはできないかもしれない、などと考える。
 「師匠」「弟子」と言い方もよく使われる。一般的な意味ではなく、こうした世界における言葉の響きはもっと噛みしめてみると、芸能の中に流れていく筋のようなものが見えてくるのかな。
 何でつながっているのか、どこまでつながっているのか、そういう探り方も案外面白い。特に立川流などはそうだ。


 ところで今日はポッキーの日だそうである。今年は暦的にかなり稀な日ですよね。
 ちょいと記念にとってみました。
 今日までの男にならないように…。
 http://spring21.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-3826.html