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ソサエティ5.0とテロワール

2019年11月18日 | 雑記帳
 先日のある会で挨拶に立たれた県関係者が「ソサエティ5.0」という言葉を使われた。認知度はどの程度だろうか。私自身は初めて聞いた。若干の説明もあったのでおおよそ理解できたが、帰ってから改めて調べてみると、もう「政府広報」としてサイト化されているのだった。ページ内にある説明は以下の通りだった。

「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、人類史上5番目の新しい社会、それが「Society(ソサエティ)5.0」です。第4次産業革命によって、新しい価値やサービスが次々と創出され、人々に豊かさをもたらしていきます。
(政府広報 https://www.gov-online.go.jp/cam/s5/)

 確かにそんな進み方であることはぼんやりとわかる。ただ、つけられた名称が「超スマート社会」というのはカテゴリーが違うように思う。スマート化とは最近よく耳にするが、スマートという語と個々の人間はどう結びつくのか。技術革新は大歓迎だけれど、日々の仕事や暮らしが底上げされ、充実が実感できるか。


 NHKの番組を観ていたら、もう一つ印象的な言葉と出会った。「テロワール」である。この放送は、日本酒が世界各地で作られるようになっていることをレポートしたものだが、フランスのワイン造りにおける特徴ある語句として使われたのだった。その概念は、日本酒づくりにおいても当てはまる方向を示していた。

 ネット上にあった説明を引用してみよう。

 テロワール【terroir】:フランス語の「terre(土地)」から派生した言葉。例えば、ワインの味わいに関係するぶどうの生育地の土壌、地勢、気候、人的要因などの特徴を説明する場合などに用いられる。



 グローバルローカルという二語がよく対比されるように、この二つ「ソサエティ5.0」と「テロワール」も、カテゴリーは異なるが、今後の生き方を考えるうえで芯となる発想と言えそうな気がする。つまり、どこまでも拡大、連結していく社会空間の中で、それぞれの個が居つく環境にこだわる重要性である。


 テロワールという概念は簡単にはわからないものだと言う。英語や日本語には適当な訳語がないそうだ。しかし、その精神は理解できる。その土地に生まれ、自然環境、人的環境等々に影響をうけた育ちを丸ごと受けとめた思考や行動様式と言えまいか。それが薄ければ、つながりが創出を生んでも豊かさとは呼べない。