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桜と絵本と豆乳と

桃太郎では退治できない

2020年04月11日 | 読書
 昨日書いた『桃太郎は盗人なのか?~「桃太郎」から考える鬼の正体』に載っていた、調べるきっかけとなった絵本『空からのぞいた桃太郎』(影山徹 岩崎書店)が、図書館の開架にあったので読んでみた。文章そのものは、私達の多くが知っている筋であり、脚色めいてはいなかった。何よりこの絵が素晴らしかった。



 鳥瞰、俯瞰で全編が貫かれているユニークな構成に驚かされる。登場人物の顔や身体などはアップにされないが、可愛らしさや素朴さが感じられる。緻密で景色の表情も豊かだ。小人数を相手に絵をゆっくり見せながら読み聞かせしたいなあと思う。きっと幼い子でも、見え方はいろいろあると感じてくれるだろう。


 何事も今の災禍と結びつけてしまいがちだが、現在のこの国の様子を俯瞰してみたらどうだろうと考える。首都圏だけでなく緊急事態宣言の出ている場所では、懸命にふんばっている医療関係者、担当や関連部署職員、そして必死にアナウンスを続ける研究者たち、情報を受けとめ出来ることをしようとする人たち…


 あたふた動かねばならず疲れ切っている人、我関せずと勝手にふるまったり、傍観的姿勢をとったりする者も見える気がする。もっと視点を上げて全国を見渡せば、都会から地方への流れにそって確実にタイムラグ的発生があると備える人もいれば、ポツンと一軒家のような地には来やしないと、たかを括る者もいる。



 そういう想像を働かせることは、自分の位置を見極め、行動の選択・決定に少しは役立つだろう。信頼できる情報に目を向けたい。絵を見ながらさらにもう一つ想うのは、疫病という鬼は人間そのものだということ。そして増殖していく。当然ながら桃太郎や少数の家来の活躍で退治できるわけではないということだ、