すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

日々を信じてアネモネの句

2020年04月02日 | 雑記帳
 久しぶりに家人の作ったパンフラワー作品を、図書館カウンターに飾った。今回はアネモネである。名はよく聴くが、あまり馴染みのなかった花だ。せっかく置くならタイトルでも添えようと考えた。花言葉がいいかな…いや俳句はどうかと歳時記を調べたら、ちょうど春四月の季語にもなっていた。例句を見ると…

 アネモネのむらさき濃くて揺らぐなし  水原秋桜子

 アネモネのごと一病をかかえたる  宇多喜代子


 なんだか、強いか弱いかわからないイメージだ。もちろんその場によって、また人によって違うのは当然だが、とらえどころがない。それに比べて次の三句は比較的くっきりしているか。

 アネモネに不良の匂ひして真昼  櫂未知子

 アネモネや父に持たせる女傘   正木ゆう子

 アネモネやタンゴ流るる理髪店   梅田圭一郎


 しかし、これらを添える句として使うのはためらってしまうな。艶っぽいとまでは言わないにしても、アダルトムードだ。そして候補として残ったのが三つ。

 アネモネやきらきらきらと窓に海  草間時彦

 まっさらなノートいろいろアネモネ語  永末恵子

 どちらもいい情景が浮かんだが、最終的に選んだのは下の句である。苦いスタートと言える四月だけど、このあとの日々を信じて添えてみた。