すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

「なんだろう」と道徳

2020年04月20日 | 教育ノート
 職員とは言えど当然貸出規定は守るわけで、休館になる前日にいくらかまとまって本を借りてきた。新書や小説の他に孫用絵本を探すうちに、ヨシタケシンスケの新しい本が目に留まった。見過ごしていたようで去年12月発刊とある。びっくりしたのはなんと「光村図書」とあること。教科書会社が…あのヨシタケを…


 『なんだろう なんだろう』ヨシタケシンスケ(光村図書)



 帯を見ると小さくこんなふうに記されている。「道徳教科書(小1~中3光村図書)のコラムが、かき下ろしを加えて一冊に!」そうかあ、光村もなかなかやるなあと思いつつ、ページをめくってみる。学校帰りの子どもが近所のお母さんに「どう?がっこう」などといろいろ訊かれ、別れてから考えを巡らす設定だ。


 「なんだろう なんだろう 『がっこう』って なんだろう」というパターンで項目立てされ、見開きの2ページの体裁でヨシタケワールドが展開していく。『たのしい』『うそ』と続き、学校について教室で会話しながら今度は『友だち』『しあわせ』『自分』が取り上げられる。こういうスタイルならコラムにふさわしい。


 エンディングも心地よかった。光村図書を検索してみたら、サイト内にヨシタケへのインタビューページがあって、結構なボリュームだった。内容も充実していた。「道徳ってなんだろう」と題したことも洒落ている。教科書の充実が、現場の実践に結びついてほしいが、根本は教師自身の問いの深さのような気がする。

 
 ふと今ならと、浮かんだのは「自粛要請のなか、桜の名所に足を運んでいる人たちの姿」。この様子を子どもたちに見せ、どう思うか問うてみる。どんな反応が上がるか。要請に応じない者の心中を探ることになるだろう。全体のことを考慮しないという批判は出ても、それを超える想像力がなければ、道徳にはならない。