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「男」の病後は2缶か

2020年09月19日 | 雑記帳
 『昔男ありき』…このシビレル?エモい?句にもう一度こだわりたい。この芯となる語は「男」。つまり、それに対する郷愁なのだろうな。「男らしい」という言い方はあまり使わなくなった。男女差に関する社会環境の変化、性についての認識が変わりゆく時代を過ごしているから、よけいにそう思うのかもしれない。


 そういえば学生の頃、あるデュオグループのコピーをして唄ったことがある。曲名は『男らしいってわかるかい』。原曲は、ボブ・ディラン「I shall Be Released 」である。その歌詞は、当時の反体制運動のなかで「♪男らしいってわかるかい ピエロや臆病者のことさ♪」と、まさに逆説的な形で示されていた。


 そんな動きもこの国で想う「男」のあり方を弱めた(笑)遠因となっているのかな。自分の世代は典型的だ。歴史を遡れば「男」を感じさせる人物は何人も挙げられるが、それも作られてきた偶像という場合もある。では、今の世の中はどうだ。これならば、しっかりと自分の眼で心で感じ取れるはずだ。誰かいるのか。



 政治家、実業家、スポーツや芸能界…何人か思い浮かぶ。故人だが高倉健、菅原文太、渡哲也などの顔も…そうかあ、男くささという面が必要だとわかる。作家では伊集院静かな。今年一月に脳梗塞で倒れたことは知っていたが、その後の情報に関しては目にしなかった。そしたら久しぶりに買った週刊誌になんと…。


 復帰して阿川佐和子との対談に登場しているではないか。人生相談風の連載も再開している。よかったねえ…と対談を読んでいたら、憧れの無頼作家もリハビリを経て病後管理をしっかりしているらしく「一日に缶ビール2本だけ」と答えている。勝手ながら、ああ『昔男ありき』という思いが、一層深まる秋である。