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桜と絵本と豆乳と

重箱の隅から見つめていた何か

2020年09月06日 | 教育ノート
 (前日からの続き)その「挑戦」問題は、5問で構成されていた。出した内容は、サークルでの話題を含めて、当時の自分の関心事を見事に表しているのだと思う。そっくり転記すると、こうだ。

① 国語科指導の名人と言われる野口芳宏先生が開発した読解指導のための有名な手法は何ですか?
② 中島元文部大臣は「東郷平八郎」を取り上げることに反対しましたが、その理由は何だったといわれていますか?
③ 例年のように新学期前の教育雑誌には、子どもたちに紹介したい詩として、蒔田晋治作のある長い作品が載ります。その題名は?
④ 絵の模写をさせる時、天地を逆にした絵を与える方法がありますが、これは何のためですか?
⑤ 体育同志会が開発した基礎的な泳法の名前は?




1 正解は「吹き出し方」である。国語や道徳で用いられているこの伝統的な指導技術は、野口先生が開発されたことを知り、傾倒している者として何か誇らしい気持ちになっていたのか。

2 ちょっと文章が舌足らずなことを反省。小学校の歴史教科書が「人物重視」に変わろうとしていた時期、当時の文部大臣がこだわりを見せた一件として印象深い。戦争において英雄視されている人物を取り上げることの危惧を、きちんと与党議員が持っていたのだなあ。

3 「教室はまちがうところだ」…この名詩は今も息づいているだろうか。その精神は不変だと考えるが、おそらくかなり窮屈になっている。

4 対象をよく見つめる大事さを、どのような方法で示せるか。具体的な技術として提示したいい例だ。固定観念をくずす、そのことによって「右脳」を鍛える、そんな論議もよくした。

5 ドル平泳法…これは実技と理論をきっちり学んだ一つだ。80年代の自実践の中ではやや誇れるものだ。ひたすらに子どもたちを泳がせる自分の「体力」も備わっていた。(正確には学校体育研究同志会)


 微細な技術にこだわっていたのは、子どもを動かし、考えさせ、力をつけさせたかったからだ。同時に個々の技術の持つ思想に興味を持っていた。今でも思い出せる典型的なことは、教育技術の法則化運動の提起した「ゴミの拾わせ方」に関することである。「数字を入れて、目標を示す」技術はその始まりに過ぎない。


 「ゴミを拾いなさい」から「ゴミを10個(20秒で)拾いなさい」へ。その次には「教室をきれいにします。ゴミを~~~」となる。次は目的のみとし行動を任せる。「教室をきれいにします。(20秒で)自分にできることをしなさい」。その段階を経てイメージするのは当然、それらの指導言が使われなくなることだった。