すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

幸せはもみの木に

2021年12月10日 | 絵本
 図書館イベントはクリスマスシーズンなので、その時季にふさわしい絵本を選ぶ。複数行うが、私の担当は「絵本クイズ」なので、時間制限もあり5分ほどで読める話はないか、クイズにできそうかが選書のポイントだ。題名にふさわしく小さな体裁の一冊を見つけた。サンタクロースや子どもが主人公ではないが…。


『ちいさなもみのき』
 (F・ムニエ作 D・エノン絵  ほるぷ出版) 




 丘で育った「ちいさなちいさなもみのき」が主人公。遠くに見える森に憧れていた。ある日、他のもみの木とともに、デパートの前でツリーとして売りにだされるが、さすがに小さく最後まで売れ残る。おじいさんとおばあさんに「すてきなもみの木」と買われていき、二人の家で飾りをつけられクリスマスを彩る。


 クリスマスが過ぎて、他の家のもみの木が捨てられていくなか、ちいさなもみのきは、おじいさんとおばあさんに裏口から外に出される。そこはなんと、丘に居たときに憧れていた高いもみの木たちの森だった。そこに植えつけられるちいさなもみのき…。なんと、ハッピーエンドなハートウォーミングな世界だろう。


 ここには「幸せ」のエッセンスが詰まっている。小さい大きいという見かけで何か決まるわけではないこと。年老いても二人でクリスマスを楽しむ暮らし。行先がどんなふうであればいい生き方なのか。場面ごとに掘り下げてみれば考えさせられる。むろん、絵本の世界に読み浸ってもらえば、今はそれでいいはずだ。


 で、実に野暮なことにクイズづくりをするのだが、ふと「ダウトをさがせ」という読書のアニマシオンの実践も思い出す。幼児中心とはいえ、設定や台詞はよく覚えているものだから、結構盛り上がってくれる。もちろん「絵本」なので、ことばだけでなく「絵」も取り入れてつくる。楽しみなのは教師だった性か(笑)。