講師 黒川が語る「労働法関係の沿革」
(1)労働基準法
憲法の
「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを
定める」(27条)の規定を受けて1947年(昭和22年)に制定されました。
その後、1987年(昭和62年)改正で週40時間労働時間制の導入、変形労働
時間制の拡大(従来は4週間単位のみで対象は限定的であった)が図られました
(なお戦前には明治44年の工場法により、文字通り工場が対象でしたが女子・
年少者の就業制限、最長労働時間の法定等が定められた経緯があります)。
(2)労働安全衛生法
従来、労働基準法の一節(「安全及び衛生」の章)として規定されていまし
たが、高度成長に伴う労働災害の増加を受け、1972年(昭和47年)に
同章を抜本的に充実させるべく独立した法律として制定されました。
(3)労働者災害補償保険法
労働基準法と同じく1947年(昭和22年)に制定されました。
またILO(国際労働機関)勧告を受けて1973年(昭和48年)に「通勤
災害」が保険給付に加えられました。
(4)雇用保険法
1947年(昭和22年)に制定された失業保険により、失業者への失業保険金
の支給体制が作られました(同時に職業安定法も制定され、戦後混乱期の
失業対策と雇用の安定が講じられました)。その後、1974年(昭和49年)に
失業保険法の失業給付の体系を大幅に組み替える等した「雇用保険法」が制定
されました(正式には基本手当であるところ現在も俗に「失業保険」と言わ
れるのはその所以なのですね)。
この際、雇用(改善)三事業がスタートしました。
なお、2007年(平成19年)の改正によりうち雇用福祉事業が廃止され二事業
となりました。
(5)労働者派遣法
かつて労働供給業者から労働者の供給を受けることは雇用責任・使用者責任が
不十分であるとして禁止されていましたが実際のところ類似の形態が見られた
ことから、1985年(昭和60年)に一定の規制を施すと同時に労働者派遣業者
から労働者派遣を受けることを適法とした「労働者派遣法」が制定されました。
1999年(平成11年)の改正で派遣対象業務を原則自由化する等、派遣(可能)
業種が拡大されるとともに、平成16年(2004年)には紹介予定派遣についても
法制化されました。
(6)男女雇用機会均等法
前身の勤労婦人福祉法が昭和47年(1974年)に制定されましたが、
国際連合の「女子差別撤廃条約」の批准を受け昭和60年(1985年)、同法の
改正法として制定されました。
当初は専ら女性労働者のために片面的に差別の規制と就業の援助をはかる
法律として、また各規定は「…努めるものとする」とする努力規定とされて
いました。
その後、平成9年(1997年)に、同法の正式名称が「雇用の分野における男女
の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(従来は「…待遇の確保等女子
労働者の福祉の増進に関する法律」とされていました)と改められ、同時に、
募集、採用、配置、昇進による差別を禁止規定とする、女性の機会拡大のため
のポジティブ・アクションを適法とする等の改正が行われました。
平成19年(2007年)には、男性へのセクハラの禁止も含む男性に対する差別
も対象となりました。また同法違反にかかる企業名の公表となる対象事由も拡大
されました。
労働者派遣法、雇用機会均等法以外については社会保険法に比べて「制定の
経緯」が出題される可能性は低いものと思われますが、情報として蓄積頂ければ
と思います。
(1)労働基準法
憲法の
「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを
定める」(27条)の規定を受けて1947年(昭和22年)に制定されました。
その後、1987年(昭和62年)改正で週40時間労働時間制の導入、変形労働
時間制の拡大(従来は4週間単位のみで対象は限定的であった)が図られました
(なお戦前には明治44年の工場法により、文字通り工場が対象でしたが女子・
年少者の就業制限、最長労働時間の法定等が定められた経緯があります)。
(2)労働安全衛生法
従来、労働基準法の一節(「安全及び衛生」の章)として規定されていまし
たが、高度成長に伴う労働災害の増加を受け、1972年(昭和47年)に
同章を抜本的に充実させるべく独立した法律として制定されました。
(3)労働者災害補償保険法
労働基準法と同じく1947年(昭和22年)に制定されました。
またILO(国際労働機関)勧告を受けて1973年(昭和48年)に「通勤
災害」が保険給付に加えられました。
(4)雇用保険法
1947年(昭和22年)に制定された失業保険により、失業者への失業保険金
の支給体制が作られました(同時に職業安定法も制定され、戦後混乱期の
失業対策と雇用の安定が講じられました)。その後、1974年(昭和49年)に
失業保険法の失業給付の体系を大幅に組み替える等した「雇用保険法」が制定
されました(正式には基本手当であるところ現在も俗に「失業保険」と言わ
れるのはその所以なのですね)。
この際、雇用(改善)三事業がスタートしました。
なお、2007年(平成19年)の改正によりうち雇用福祉事業が廃止され二事業
となりました。
(5)労働者派遣法
かつて労働供給業者から労働者の供給を受けることは雇用責任・使用者責任が
不十分であるとして禁止されていましたが実際のところ類似の形態が見られた
ことから、1985年(昭和60年)に一定の規制を施すと同時に労働者派遣業者
から労働者派遣を受けることを適法とした「労働者派遣法」が制定されました。
1999年(平成11年)の改正で派遣対象業務を原則自由化する等、派遣(可能)
業種が拡大されるとともに、平成16年(2004年)には紹介予定派遣についても
法制化されました。
(6)男女雇用機会均等法
前身の勤労婦人福祉法が昭和47年(1974年)に制定されましたが、
国際連合の「女子差別撤廃条約」の批准を受け昭和60年(1985年)、同法の
改正法として制定されました。
当初は専ら女性労働者のために片面的に差別の規制と就業の援助をはかる
法律として、また各規定は「…努めるものとする」とする努力規定とされて
いました。
その後、平成9年(1997年)に、同法の正式名称が「雇用の分野における男女
の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(従来は「…待遇の確保等女子
労働者の福祉の増進に関する法律」とされていました)と改められ、同時に、
募集、採用、配置、昇進による差別を禁止規定とする、女性の機会拡大のため
のポジティブ・アクションを適法とする等の改正が行われました。
平成19年(2007年)には、男性へのセクハラの禁止も含む男性に対する差別
も対象となりました。また同法違反にかかる企業名の公表となる対象事由も拡大
されました。
労働者派遣法、雇用機会均等法以外については社会保険法に比べて「制定の
経緯」が出題される可能性は低いものと思われますが、情報として蓄積頂ければ
と思います。