よ~すけの「年金プラスアルファ」―経過的寡婦加算―
前号では経過的加算を説明しました。
そして、名称が似た「経過的寡婦加算」があります。
こちらは遺族厚生年金の額に加算するものです。
じっくりお読みただき、この経過的寡婦加算をしっかりと理解してくださいね。
まず密接に関係する「中高齢の寡婦加算」の額ですが、
こちらは「遺族基礎年金の4分の3」です。
要件に該当する妻は65歳まで遺族厚生年金の額に、この中高齢の寡婦加算が
加算されます。
そして、65歳以後、老齢基礎年金を受給するようになり、遺族厚生年金と併給
することができます。
このとき、問題となるのは65歳までの中高齢の寡婦加算と、65歳以後の老齢
基礎年金の額の額です。
遺族厚生年金の額は65歳の前後で変わりませんが、中高齢の寡婦加算の額より
老齢基礎年金の額が低額となってしまうことがあります。
このような妻のために、遺族厚生年金に経過的寡婦加算を加算することで保護
しています。
よって、経過的寡婦加算は、中高齢の寡婦加算と老齢基礎年金との差額です。
前号の経過的加算と、その趣旨は同じようなものといえますよね。
対象となるのは昭和31年4月1日以前生まれの妻です。
つまり、新法施行日である昭和61年4月1日において30歳以上の妻です。
ここで一つ疑問が出てきませんか?
新法施行日において「20歳以上」じゃなくていいの?と思いませんか?
しかし、理由があって昭和31年4月2日以降生まれの妻は対象となりません。
これらの妻は新法施行日において30歳未満なので、60歳までの新法としての
国民年金の被保険者期間は30年以上となります。
例えば、昭和31年4月2日生まれの妻は、新法としての国民年金の被保険者
期間は30年です。この場合、支給されうる老齢基礎年金は、満額の4分の3です。
どこかでこの「4分の3」という割合、出てきましたよね?
そう、前記の通り、中高齢の寡婦加算の額が「遺族基礎年金の4分の3」です。
そして、遺族基礎年金の額は、老齢基礎年金の満額と同額です。
つまり、
中高齢の寡婦加算の額は「老齢基礎年金の満額の4分の3」と言い換えることが
できます。
よって、昭和31年4月2日以降生まれの妻は、新法としての国民年金の被保険者
期間が30年以上あるので、経過的寡婦加算の額以上の老齢基礎年金を受給すること
ができるため、経過的寡婦加算の保護は不要となるのです。
新法としての国民年金の被保険者期間は、生年月日が早いほど短くなり、それに
伴って老齢基礎年金の額が低額となっていきます。
逆に、生年月日が遅いほど、老齢基礎年金の額が大きくなります。
なので「寡婦の生年月日に応じた率」を設けて額の調整を行います。
具体的な計算式は
「中高齢の寡婦加算の額 - 老齢基礎年金の満額 × 寡婦の生年月日に応じた率」
となります。
生年月日が遅いほど、新法としての国民年金の被保険者期間が長くなり、老齢
基礎年金の額は大きくなるので、経過的寡婦加算の額は低くなります。
なお、生年月日に応じた率は、生年月日が遅いほど高くなります。
計算式中の老齢基礎年金の満額に乗じる「寡婦の生年月日に応じた率」を高く
することで、
「老齢基礎年金の満額 × 寡婦の生年月日に応じた率」
によって得られる額が大きくなります。
つまり、生年月日が遅いほど、この額が中高齢の寡婦加算の額に近づいていきます。
よって、経過的寡婦加算によって保護される額が低額となっていきます。
いかがでしょうか?
なぜ経過的寡婦加算の保護が必要であるかという背景と、その仕組みがわかれば
今までほど複雑には思えないのではないでしょうか。
お手持ちのテキストとあわせてお読みいただき、理解を深めてくださいね。
3回にわたって連載させていただきました「年金プラスアルファ」も
これが最終回です。
「よくわからないから…」なんて食わず嫌いをせず、
年金を得点源にして合格をつかみ取ってください!
【お知らせ】
よ~すけの「年金プラスアルファ」を執筆して頂いた山内洋輔氏が
6月14日(日)に、東京都中央区で、
社労士受験生向けの勉強会「年金科目攻略過去問ゼミ」を開催します。
ご興味にある方は、
yamauchi-sr@tees.jp
へ、お問い合わせください。
なお、お問合せに際しては、「年金科目攻略過去問ゼミ」という件名で、
お名前を明記のうえ、お願いします。
前号では経過的加算を説明しました。
そして、名称が似た「経過的寡婦加算」があります。
こちらは遺族厚生年金の額に加算するものです。
じっくりお読みただき、この経過的寡婦加算をしっかりと理解してくださいね。
まず密接に関係する「中高齢の寡婦加算」の額ですが、
こちらは「遺族基礎年金の4分の3」です。
要件に該当する妻は65歳まで遺族厚生年金の額に、この中高齢の寡婦加算が
加算されます。
そして、65歳以後、老齢基礎年金を受給するようになり、遺族厚生年金と併給
することができます。
このとき、問題となるのは65歳までの中高齢の寡婦加算と、65歳以後の老齢
基礎年金の額の額です。
遺族厚生年金の額は65歳の前後で変わりませんが、中高齢の寡婦加算の額より
老齢基礎年金の額が低額となってしまうことがあります。
このような妻のために、遺族厚生年金に経過的寡婦加算を加算することで保護
しています。
よって、経過的寡婦加算は、中高齢の寡婦加算と老齢基礎年金との差額です。
前号の経過的加算と、その趣旨は同じようなものといえますよね。
対象となるのは昭和31年4月1日以前生まれの妻です。
つまり、新法施行日である昭和61年4月1日において30歳以上の妻です。
ここで一つ疑問が出てきませんか?
新法施行日において「20歳以上」じゃなくていいの?と思いませんか?
しかし、理由があって昭和31年4月2日以降生まれの妻は対象となりません。
これらの妻は新法施行日において30歳未満なので、60歳までの新法としての
国民年金の被保険者期間は30年以上となります。
例えば、昭和31年4月2日生まれの妻は、新法としての国民年金の被保険者
期間は30年です。この場合、支給されうる老齢基礎年金は、満額の4分の3です。
どこかでこの「4分の3」という割合、出てきましたよね?
そう、前記の通り、中高齢の寡婦加算の額が「遺族基礎年金の4分の3」です。
そして、遺族基礎年金の額は、老齢基礎年金の満額と同額です。
つまり、
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逆に、生年月日が遅いほど、老齢基礎年金の額が大きくなります。
なので「寡婦の生年月日に応じた率」を設けて額の調整を行います。
具体的な計算式は
「中高齢の寡婦加算の額 - 老齢基礎年金の満額 × 寡婦の生年月日に応じた率」
となります。
生年月日が遅いほど、新法としての国民年金の被保険者期間が長くなり、老齢
基礎年金の額は大きくなるので、経過的寡婦加算の額は低くなります。
なお、生年月日に応じた率は、生年月日が遅いほど高くなります。
計算式中の老齢基礎年金の満額に乗じる「寡婦の生年月日に応じた率」を高く
することで、
「老齢基礎年金の満額 × 寡婦の生年月日に応じた率」
によって得られる額が大きくなります。
つまり、生年月日が遅いほど、この額が中高齢の寡婦加算の額に近づいていきます。
よって、経過的寡婦加算によって保護される額が低額となっていきます。
いかがでしょうか?
なぜ経過的寡婦加算の保護が必要であるかという背景と、その仕組みがわかれば
今までほど複雑には思えないのではないでしょうか。
お手持ちのテキストとあわせてお読みいただき、理解を深めてくださいね。
3回にわたって連載させていただきました「年金プラスアルファ」も
これが最終回です。
「よくわからないから…」なんて食わず嫌いをせず、
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