(4)過重負荷の有無の判断
ア 略
イ 長期間の過重業務と発症との関係について、疲労の蓄積に加え、発症に近接
した時期の業務による急性の負荷とあいまって発症する場合があることから、
発症に近接した時期に一定の負荷要因(心理的負荷となる出来事等)が認めら
れる場合には、それらの負荷要因についても十分に検討する必要があること。
すなわち、長期間の過重業務の判断に当たって、短期間の過重業務(発症
に近接した時期の負荷)についても総合的に評価すべき事案があることに留
意すること。
ウ 業務の過重性の具体的な評価に当たっては、疲労の蓄積の観点から、以下
に掲げる負荷要因について十分検討すること。
(ア) 労働時間
a 労働時間の評価
疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目する
と、その時間が長いほど、業務の過重性が増すところであり、具体的に
は、発症日を起点とした1か月単位の連続した期間をみて、
1) 発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね
45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関
連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほ
ど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること
2) 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か
月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が
認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること
を踏まえて判断すること。
ここでいう時間外労働時間数は、1週間当たり40時間を超えて労働し
た時間数である。
b 労働時間と労働時間以外の負荷要因の総合的な評価
労働時間以外の負荷要因(後記(イ)から(カ)までに示した負荷要因をいう。
以下同じ。)において一定の負荷が認められる場合には、労働時間の
状況をも総合的に考慮し、業務と発症との関連性が強いといえるかど
うかを適切に判断すること。
その際、前記a2)の水準には至らないがこれに近い時間外労働が認め
られる場合には、特に他の負荷要因の状況を十分に考慮し、そのような
時間外労働に加えて一定の労働時間以外の負荷が認められるときには、
業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断するこ
と。
ここで、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮するに当
たっては、労働時間がより長ければ労働時間以外の負荷要因による負荷
がより小さくとも業務と発症との関連性が強い場合があり、また、労働
時間以外の負荷要因による負荷がより大きければ又は多ければ労働時
間がより短くとも業務と発症との関連性が強い場合があることに留意
すること。
――コメント――
評価期間について変更はありませんが、発症に近接した時期の負荷についても総合
的に評価すべき事案があることが明示されました。
また、労働時間と労働時間以外の負荷要因の総合的な評価として業務と発症との
関連性が強いと評価できる場合があることが明示されました。