ウサギ頭の二宮金次郎と、トリ頭の天使が二体ずつ在るが、ロバは一体だった。
ファンタジー要素はなくロバそのものだったので、前の方から撮る気にはならなかった。
おとなしくて従順で力持ちの鈍重さが哀しい生き物。
どういうわけか無駄に大きい耳が、せめてもの自己主張のようで切ない身の上。
わが妻有地方にはいない家畜だったと思われる。
18年の故郷生活で飼われているのを見たことはない。
本や画像・映像の中だけの動物を、初めて見たのは動物園でだったか、幼い頃にやってきたサーカスでだったか。
そういう里山に創られた、地中海風オブジェを構成する一体の等身大ロバが、森の裾にある稲田を眺めて佇む。
そうして何となくその尻を撮る。