和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

美しくなかしき。

2012-04-03 | 詩歌
岡野弘彦歌集「美しく愛しき日本」(角川書店)を
パラパラとめくってみました。
短歌は、内容がわからなくても、とにかくも、
私のような素人でも、
それなりに見ることができるしあわせ。

ところで、日下公人氏がドナルド・キーン氏の
鬼怒鳴門(キーン・ドナルド)という日本名について、
書いていたのが、気になっておりました。
そうすると、
読売歌壇(2012年4月2日)の岡野弘彦選の
さいしょの一首に。

日本人はもっと母国をふかく知れ怒鳴りたそうな鬼怒鳴門
   宮崎市 松久寅雄

評】 なるほど、この漢字表記からははげしい印象を受けるが、実際のキーンさんはもの静かで、日本への深い理解と励ましからは、常に大きな勇気と反省を与えられる。


それでは、歌集「美しく愛しき日本」にある、「怒り」という言葉が登場する短歌を引用していきます。

「出雲なす神」(p11)
青梅に舟傾けて没(い)りゆきし 事代主(ことしろぬし)の怒り おもほゆ

「海彼の楽」(p40)
死刑囚学生の歌読みゐつつ 唐突に身の怒り わきくる

「美しく愛しき日本」(p156・164)
日本人はもつと執ねく怒れとぞ思ひ、八月の庭に立ちゐる

原爆の怒りをすらや、みづからのあやまちの如く言ふに おどろく

怒りすらかなしみに似て口ごもる この国びとの 性(さが)を愛(を)しまむ
コメント
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