今年、1月18日発売の記念切手を買ってあります。
封筒用84円のシール式切手。1シート840円なり。
切手は、だんぜんシール式の方が使い勝手がよい。
はい。手紙なんてめったに書かないので、
1シートあれば私は1年分だったりします。
年の初めくらい多くの手紙が書けるよう願って、
記念切手を買います( 郵便局の回し者か )。
買ったのは「自然の記録」第三集で『本草図譜』。
シール脇説明には大学の「付属植物園蔵」とあり、
どうみても、江戸か明治頃の手書きの絵図譜です。
絵柄も、今どきの花の絵柄の切手とはちがって、
枇杷の絵柄も、路地で雨さらしの枇杷だったり、
イチゴ図柄も、実が楕円だったりしてます。
そして、特徴は本草図譜というだけあって、
花と実に絵によっては根までも描かれてる。
なんとも、クラッシクな絵柄花柄なのです。
10枚つづりの絵(一枚一枚違う草花)を見ていると、
だんだんと、私は根にまつわる連想がはたらきます。
ここで、思い浮かんだのは、お正月の松飾りでした。
平凡社のコロナブックスシリーズの一冊を出してくる。
持っているのは『京の坪庭を楽しむ』。そのp78です。
このページの写真は、のれんの下がった家の正面。
下の説明をそのままに引用。
「 冨田屋・正面外観
正月の飾り付けをした冨田屋の正面。
明治18年の建築。・・・ 」
とあります。私が気になっていたのは、
のれん下両脇に、小さな松飾りがある。
その松飾りはどうみても根っこがついているのでした。
小さな苗のような松を根っこごと飾っているのです。
( この風習をご存知の方はお教えください )
何だろうなあ、飾った後に、その松を植えるのだろうか。
それにしても、シンプル松飾りにこんなバリエーションがある。
さまざなま飾り方があってもよいという楽しみがひろがります。
それとも、着飾った松飾りの原型の姿とはこのようだったのか。
一枚の写真に、京都のお正月の飾らない姿を教えられるような。
本棚からもう一冊とりだしてきたのは、
杉本秀太郎著「絵 隠された意味」(平凡社・1988年)
その『告白』という文でした( p90~94 )
そこには、昭和46年に武田薬品が創業190年記念に出版した
『薬用植物画譜』が紹介されておりました。こうあります。
「 薬用植物の図譜のために描かれた植物図には、
普通の植物図鑑の図とはちがうところがある。
薬用に供される部分が特に目立つように
描かれなければならないからである。
多くの場合、それは植物の果実、もしくは根ということになる。
だが、植物識別の目じるしになる花、葉、幹、茎も正確に描か
れていなければ物の役に立たないのは当然である。 」
このあとに、葛(くず)の説明があり、最後はそちらも引用したくなる。
「 夏、秋の日本の山野に趣を添える葛は、あのすさまじいばかりの
繁茂ぶりから想像がつくように、地中にたくましい根塊を秘めていて、
そのなかに多量のデンプンを蓄積している。
冬のうちに掘り起こした葛の根をたたきつぶして、水にさらす
と良質のデンプンが得られる。葛の食用植物たる所以である。
葛の根は、また古来、漢方では葛根(かつこん)と称して
重宝されてきた。デンプンのほかにイソフラボノイド、
ダイゼインを含有していて、血行を良くし、
血糖を降下させるのに有効で、解熱作用もある。 」
はい。p93には、『薬用植物図譜』から葛の絵が載せてあります。
下には「 小磯良平『葛』( 「薬用植物図譜」より ) 」とあります。
はい。家では、生姜葛湯も葛根湯も常備しております。
あれ。葛湯は飲んでナシ。さっそくストックしなきゃ。
もう一つのブログで書いた記憶があるので
探し出しました。
https://cellonon.exblog.jp/23544086/
こちらには 根付きと 根無しの松飾の説明が
述べられています。
どちらも あるようです~(#^^#)
http://kono1.jp/landscape/landscape7087
ご連絡頂きありがとうございます。
たいへん参考になりました。奥深い。
これからも、よろしくお願いします。
手紙を書くこと、少なくなりました。
億劫に思うことがあるので、いけません。
根引きの松ですね。
こちらでは普通のお宅の門扉にでも飾られ、新年を寿いでいます。
いわゆる「子の日の遊び」の流れではないかと思うのです。
杉本家は真宗のご門徒家ですので、門松など飾ることはないと読んだことがあります。
至ってシンプルに。玄関や床飾りに松を生けるようになったのは、
千代子さんのご実家の習わしを取り入れたからと書いておられました。
寺の門柱に根引きの松、見かけたことあります。
平安時代からの古い行事が脈々と継がれていると思うと素晴らしい~。
コメントありがとうございます。
こうして、お二人からコメントいただくと、
なんとも、こころ豊かな気持ちになります。
実際、根引松をみたことがなかったので、
その気分は、ひとしおなものがあります。
なんだか、今までは葉がのびよ、茎がのびよ
と思っていたのに、根までは気づかなかった。
そんなことにちっとも気づかなかったなんて。
はい。今年は性根をただしながら、
大村はま全集を最後まで根気よく、
ゆっくりでも読み込みでいきます。
こうして遅まきの新年の抱負です。