和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

手紙と、贈答句。

2022-06-02 | 詩歌
今日は日差しが眩しく、風はなく、よい天気。

古本で、高浜虚子著「贈答句集」(菁柿堂・昭和21年)届く。
さっそく、序のはじまりを引用。

「 贈答句といふのは手紙の端などに書いて
  人に贈った句が多いのであるから、
  
  その場限りの句として
  書きとめて置くことが少い。

  また書きとめて置いてもそれほどの
  価値のない句も少なくない。

  この集にあつめたものは、たまたま
  何等かの機会に記憶にとどまってゐた句とか・・・
  あとからわざわざ知らしてもらって、
  そういふ句があったのかと気づいて
  書きとめたものなどである。

  贈答の句、慶弔の句の如きものは
  他の意の加はったものであるから
  純粋の俳句といふことは出来ないかも知れない。

  然し、それでゐて平凡な句であってはならない。

  他の意味も十分に運び而も、俳句としてみても
  なほ存立の価値があるといふやうなものでなくてはならぬ。

  そこが普通の俳句よりもむづかしいと
  言へば言へぬこともないのである。・・・・・・・・・    
   
          昭和21年4月29日   高山虚子    」


はい。1ページに1句。
余白が涼しく好都合。
ちょこっと3句引用。

   明治29年 人に寄す   ( p32 )

 衣替へて八字の眉も可愛ゆらし 


   明治31年6月8日 暫く音信を絶ちたる東西俳人を思ふ ( p67 )

 霽月といひ漱石といひ風薫る


   明治33年5月26日 山口花笠来訪  ( p80 )

 あつき日にやけてげんきな男かな




追記:
古本は、居ながらにしてネット注文できるので、
あとは、どんな古本を注文するかと、迷うだけ。
そして、かんじんな、値段との相談になります。


今回は、気になった高浜虚子著「贈答句集」
これは、丸谷才一大岡信対談「唱和と即興」
で触れられていたのでした。

日本の古本屋にて検索すると、
810円+送料370円=1180円。
北海道函館市駒場町浪月堂書店。
『古書浪月堂(ロウゲツドウ)』

1ページ1句で、全280ページ。
戦後1年目の本で、それなりに汚いのですが、
当時の装丁ではしっかりした感じを受けます。
うん。私に読めてよかった一冊となりました。


  
  


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