山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

初夏の北岳を訪れる(2日目前編) 令和3年6月26日

2021年07月03日 | 高山に咲く花
 日の出の時に立ち昇ったサンピラーを堪能した後に朝5時に朝食となる。急いで荷物をザックに詰め込み、5時半に北岳山頂を目指して出発である。先週の鳳凰山の際は2日目に筋肉痛で悩まされたが今回はさらにゆっくりと歩いたこともあって全く痛みは無い。夜もぐっすりと寝ることが出来て体調は良好である。山頂を越えて北岳山荘まで行き、折り返してトラバース道、八本歯のコルを経て左又雪渓を下山する予定である。キタダケソウは既に2週間前に満開を迎えていると聞いており、少し時期が遅いかも知れないがまだ十分に見られるはずである。


    青空が広がった朝。台風が接近してきているはずだが風もあまり強く無い。


    見下ろす北岳肩の小屋と仙丈ケ岳・甲斐駒ケ岳


    レンゲイワヤナギの群生。といっても低木で根元に木の枝があるはずで、さほど株数が多いわけでは無い。


    レンゲイワヤナギの花


    ハクサンイチゲ


    クモマナズナ


    岩の間に生えたアオチャセンシダ。常緑のシダだが越冬したばかりの茶色い葉が多い。


    山頂手前から見る間ノ岳の稜線


    北岳山頂から見る北岳南峰と仙丈ケ岳

 植物を観察しながら1時間半かけて山頂に到着した。ナヨシダやトガクシデンダはまだ小さくて同定が出来なかったが、珍しいシダや花に出会うことが出来た。休憩した後に北岳山荘に向かって下りる。


    7時を過ぎた頃には雲が湧き上って来た。


    キタダケそうも混じっているがこの場所はハクサンイチゲが多い。


    咲き始めのチョウノスケソウ


    ミドリハクサンイチゲ


    クモマナズナ。この後に見る似たようなアブラナ科の植物に悩まされることになる。


    チシマアマナと仙丈ケ岳


    シロウマオウギ


    萼に黒い毛が生える。


    ヒメカンスゲに似ているが雌小穂の鱗片が濃い茶色。たぶん別物であろうが不明。


    葉がハリスゲのように細い。おそらくヒゲハリスゲと思われるが、果期に実を見てみないと確定できない。


    北岳山荘手前から振り返って見る北岳。格好良い。

 北岳山荘では今期から自然保護グループのメンバーのひとりが小屋番をやっており、挨拶していろいろと情報交換をしながら休憩させていただいた。気を遣わずに泊まれるようになったのは良いが、南アルプスの山小屋予約システムを使って宿泊予約をしなければならず、ネット予約が苦手な私にとってはなかなか予約が取りずらいのが難点である。折り返してトラバース道を通り八本歯のコルに向かう。(2日目後編に続く)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サンピラー立ち昇る北岳の夜明け 令和3年6月26日

2021年07月03日 | 番外編
 前日は8時に寝て予定通り未明3時に目が覚めた。満月が照らしているためか窓から透かして見る外の景色が明るく見える。服を着込んで三脚とカメラを持って外に出てみる。スッキリと晴れているわけでは無いが、月光に照らされた鳳凰山や仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳など南アルプスの山々が姿を見せている。北岳の右側には明るい満月が雲を透かして見えていた。


    未明の仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳


    鳳凰山と雲に浮かぶ富士山


    北岳と6月の満月ストロベリームーン


    北岳と富士山


    日の出前の仙丈ケ岳


    甲斐駒ケ岳


    肩の小屋のテント場と富士山


    空が赤く染まり出した富士山


    雲間に見える朝日

 標高3,000mの朝は結構寒い。それなりに着込んではきたが手袋を付けて来なかった手先はかなり冷たい。折角なので北岳の斜面に朝日が射しこむまでは辛抱して待ってみることにする。すると、鳳凰山に昇りかけた朝日の上に真っ直ぐに立ち昇る光の柱が見え始めた。これはサンピラーではないか?


    朝日は雲の中にもう昇っている。その上にうっすらと真直ぐに立ち昇る光の柱が見え始めた。


    次第にはっきりと見えるようになってきた。これはサンピラーではないか?


    間違い無さそうだ。初めて見るサンピラーに感激。


    北岳を染める朝日

 朝食は5時だったが、ギリギリの時間までこの景色に酔いしれた。朝日が雲の上に昇った頃にはサンピラーは消えてしまった。小屋に戻って朝食をいただき、5時半に肩の小屋を出発して山頂に向かう。天候は良さそうだ。本日の本番はこれからである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初夏の北岳を訪れる(1日目後編) 令和3年6月25日

2021年07月02日 | 高山に咲く花
 白根御池をお昼頃に出発する。空はどんより曇り空で時折霧の中に突入して真っ白になる。途中で小雨に見舞われたためカッパを着ての登山となるが、幸いにして大降りにはならず、心配していた雷も鳴らなかった。イネ科、カヤツリグサ科の植物はまだ蕾で花期に至っていないものが多く、予想はしていたが分からないものばかりである。


    見下ろす白根御池。かつてはセンジョウアザミがたくさん茂っていたが鹿の食害でハンゴンソウだらけになってしまった。


    草すべりはマルバタケブキが目立つ。


    斜面に生育するサンリンソウの群落


    ミヤマキンポウゲ。背の低いものばかり。


    こんな高地にもシロイトスゲが生えるようだ。


    カンスゲの仲間であろうが何だか分からないスゲ。


    ヒメカンスゲ?ちょっと違う気がする。


    高所に生育していたハルガヤの仲間。花を分解してみないと確定できないが、この場所ならばミヤマハルガヤと思われる。


    まだ花が咲いていない。構造的には頂部が雄小穂でその下に雌小穂があるように見える。鱗片が細くこれはミヤマアシボソスゲか?


    これは別物で、稜線に抜け出るとたくさん生えている。


    頂部が雄小穂、その下に雌小穂がある。鱗片の幅はあまり広く無く、これはタカネナルコだろうか?


    鳳凰山では数が少なかったが北岳の稜線では普通に見かけるこのイネ科の植物。


    これはミヤマコウボウであろう。


    あまり見かけなくなったこの花も元気に咲いていた。


    サンカヨウ。今年はあまり食害に遭っていないようである。


    コスギラン。シダの仲間。


    個体数は少し増えているように見受けられる。

 雷を心配していたが時折日差しも差し込み、心配は無さそうである。まだあまり花は咲いていないだろうと思っていたのだが想定外に様々な花が咲いていた。仲間はもう山小屋に到着している頃だろうが、折角花が咲いているので存分に写真を撮りながら稜線の景色を楽しませてもらうことにする。


    ハクサンイチゲとミヤマキンバイのお花畑


    オヤマノエンドウ。後ろは雲に巻かれた仙丈ケ岳。


    チシマノアマナ


    キバナシャクナゲ。ピンク色の花も混じっていたが、痛み始めて色付いたものかも知れない。


    イワウメのお花畑

 心配したメンバーの一人が途中まで迎えに来てくれた。北岳肩の小屋にはメンバーから1時間半遅れて午後4時半に到着した。夕食は5時からだそうで、荷物を片付ける前に夕食となった。夕食に焼き肉が出たのには驚いた。日没の頃には再び雲が増えてしまい、景色は悪くなってしまったが、仙丈ケ岳の上に夕焼けの空も少し広がってくれた。この日は6月の満月ストロベリームーンが昇って来るはずだったが残念ながら見えそうも無く諦める。明朝の天気に期待して午後8時には寝ることにする。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初夏の北岳を訪れる(1日目前編) 令和3年6月25日

2021年07月02日 | 高山に咲く花
 この日は南アルプス林道バスが動き出す初日で、北岳等、南アルプスの開山日だった。しばらくお目にかかっていないキタダケソウを見たいこともあるのだが、山上に生育するイネ科やカヤツリグサ科の植物も気になっている。メンバー8人で肩の小屋宿泊予約していただき、入山する。


    広河原から見上げる北岳。曇り空だが天気予報は午後から雨。夕立にならなければ降らなそうだ。


    意外なところにこんなシダが元気に生えていた。ウサギシダ。


    これは初めて見るセリ科の植物。


    まだ花が咲いていないが、花の直下の葉に柄が無くおそらくはヤマナシウマノミツバと思われる。


    タカネフタバランはまだ蕾


    ヒメムヨウラン


    イチヨウランはあまり見かけない。


    咲き始めたばかりのキソチドリ


    コフタバランもまだ蕾


    しばらくぶりに出会ったこの花、エゾサカネラン。もう消滅してしまったかと思っていたが数株咲いていた。


    北岳の沢沿いに咲くこの花はずっとコンロンソウだと思っていたが、これはヒロハコンロンソウだった。


    ミヤマシダに似ているが葉が柔らかくて小羽片の切れ込みがより細かい。


    長楕円形ないし三日月型のソーラス。これはキタノミヤマシダと思われる。


    初めて見るオオヒョウタンボク。葉が柔らかく一部が鹿の食害に遭っていた。


    幸運にも花が咲いていた。


    結構辛い白根御池小屋への尾根道。

 メンバーにだいぶ遅れをとりながらなんとか白根御池小屋へのトラバース道に登り付く。メンバーの一人が変わったカヤツリグサ科の植物を発見して待っていてくれた。それを見てビックリ、探していたヒメカワズスゲだった。さらに御池小屋に到着してみると、小屋の前にある草地には驚くほどたくさん生育していた。


    鳳凰山南御室小屋のテント場にたくさん生えていたこのスゲの正体が分かった。これはミノボロスゲ。


    探していたヒメカワズスゲ


    御池小屋の草地にはたくさん生えていた。このスゲを見に来る人はほとんど居ないであろう。ただの雑草にしか見えない。


    池のほとりに生えたヒメカワズスゲ。


    花期の小穂。先のほうに雌花がありその下に雄花がある雌雄小穂。


    果期の穂。柄が無く2~6個の小穂を付ける。

 ヒメカワズスゲは山梨県では北岳周辺にしか生育していない貴重な植物である。図鑑やレッドデータブックに記された生育環境や場所から判断して白根御池周辺にあるのではないかと思っていたのだが、これほどたくさん生育しているとは思ってもいなかった。まずはひとつ目の目的をクリアである。昼食をとって大休憩し、メンバーに一足遅れて御池小屋を出発する。もうメンバーに追いつくことは無いであろう。ここから先が本番である。明日のことを考えて足に疲れを残さないように、自身のペースでゆっくりと登らせてもらう。(1日目後編に続く)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする